ビジネスわかったランド (経営・社長)

役員給与の実務処理と節税ポイント

【事例30】 代表取締役が交代した場合の事前確定届出給与
事例

当社(年1回3月決算)は、毎年5月末の定時株主総会直後の取締役会で、取締役の毎月の役員報酬と6月および12月の確定給与を支給する旨を決議し、確定給与については、事前確定届出給与の届出を適正に行なっています。
本年の手続きも終了した後の8月に、代表取締役Aが病気で入院することとなり、高齢なこともあって代表取締役を辞任したい旨の申し出を受けたので、新たに取締役Bを代表取締役にする旨の決議を9月30日の臨時株主総会で行ないました。
臨時株主総会直後の取締役会で、事前確定届出給与として決議していた12月支給分の確定給与につき、役職が変更されたため、AとBの支給金額を入れ替える旨の決議を行ないました。
このような状況で、AとBに支払う確定給与は、事前確定届出給与として損金算入が認められるのでしょうか。

結論

Bが代表取締役に就任した日から1か月以内に、事前確定届出給与に関する変更届出書と付表(変更後の事前確定届出給与等の状況)に記入し、所轄税務署長に届け出ることにより、損金算入が認められます。

解説

予定されていない代表取締役の変更は、役員の職制上の地位の変更であり、臨時改定事由に該当すると解されます。
通常の届出により事前確定届出給与の手続きが行なわれた後、臨時改定事由が生じ、従前の事前確定届出給与を変更したい場合は、事前確定届出給与に関する変更届出書(図A参照)と付表(変更後の事前確定届出給与等の状況、図B参照)を記入し、臨時改定事由が生じた日(この事例の場合、Bが代表取締役に就任した9月30日)から1か月を経過する日までに、所轄税務署長に届け出ることにより、事前確定届出給与の変更が認められ、損金算入が認められます。
事前確定届出給与に関する変更届出書
付表 変更後の事前確定届出給与等の状況