ビジネスわかったランド (経営・社長)

役員給与の実務処理と節税ポイント

【事例27】 事前確定届出給与のほかに決算賞与を支給する場合
事例

当社(年1回3月決算)は、5月末の定時株主総会で、役員の毎月の役員報酬と6月と12月の確定給与を支給する旨を決議し、確定給与については、事前確定届出給与の届出を適正に行なっています。
決算が近づいて試算したところ、予想以上に業績がよいことが判明しました。そこで、決算賞与を役員と従業員の全員に支給することを考えています。
役員に決算賞与を支給した場合、事前確定届出給与として届出をし、届出どおりに支給した金額も損金不算入となるのでしょうか。

結論

決算賞与相当額のみが損金不算入となります。

解説

この事例を図示すると、下図のようになります。
事前確定届出給与のほかに決算賞与を支給する場合
この事例のポイントは、事前確定届出給与として届け出ている金額以外にさらに役員賞与を支給した場合に、事前確定届出給与の総額が変わってくるため、全体が損金不算入になるのではないか、という疑問があることです。
しかし、事前確定届出給与と決算賞与は、まったく別個に株主総会等で決議され支給されるものであり、また決算賞与は業績がよいことによって支給を決めたもので、事前に支給が確定していたものではないため、税務上も別個のものとして考えます。
つまり、決算賞与については、損金算入できる役員報酬のいずれにも該当しないため、その全額が損金不算入となります。一方、事前確定届出給与については、その手続きが適正に行なわれているため、支給金額が過大でない限りは損金に算入されます。

参考

この、事前確定届出給与と決算賞与とはまったく別個のものとして考える方法と同じ考え方が成り立つものとして、税務調査の結果判明したいわゆる「認定賞与」があります。
認定賞与も、その支給が事前に確定しているものではなく、税務調査によって事後的に確定するものであるため、事前確定届出給与とはその性格を異にするものです。したがって、認定賞与に「認定」されたからといって事前確定届出給与の部分まで損金不算入になることはなく、あくまでも認定賞与部分のみが損金不算入となります。