ビジネスわかったランド (経営・社長)

役員給与の実務処理と節税ポイント

【事例24】 事業年度をまたいで届出金額と異なる報酬を支給した場合
事例

当社(年1回3月決算)は、6月末の定時株主総会で、新たに就任した代表取締役Aの役員報酬を、毎月50万円の定額給と12月と来年の6月に各100万円上乗せして報酬を支払うことを決議し、事前確定届出給与の届出を適正に行ないました。
その後、12月支給分は届出どおりに支給しましたが、1月以降当社の業績が急激によくなったため、6月支給分を50万円上乗せし150万円支給しようと考えています。届出どおりに支給しなかった場合、損金算入できないことは承知していますが、途中で決算期を迎えるため12月の支給分はどのように扱えばよいのでしょうか。

結論

12月支給分(100万円)は損金に算入することができます。6月支給分(150万円)は翌期決算で損金不算入となります。

解説

この事例を図示すると下図のようになります。
事業年度をまたいで届出金額と異なる報酬を支給した場合
この事例も事例23(届出金額と異なる報酬を支給した場合)と同様に、事前に届け出た役員報酬と異なる支給を行なったため、基本的には事前確定届出給与部分全体が損金不算入となるはずです。しかし、届出どおり支給しなかった6月は翌期の支給であり、3月で決算を迎える当期の課税所得には、結果的にまったく影響を及ぼしません。このような場合、翌期に支給した事前確定届出給与のみを損金不算入として差し支えないものと考える旨が国税庁より示されています。
つまり、この事例の場合、6月に支給した150万円を翌期の決算で損金不算入とし、当期の決算では、12月に支給した100万円は損金に算入して差し支えありません。