ビジネスわかったランド (経営・社長)

役員給与の実務処理と節税ポイント

【事例19】 役員報酬を未払計上した場合
事例

当社(年1回3月決算)は、取扱商品の性格から、夏場に売上が落ち込み、冬場に回復するという傾向があります。今期も6月の定時株主総会後の取締役会で各役員の役員報酬額を決議しましたが、夏場には資金繰りも厳しくなるので、その一部を未払いとしておき、売上が伸びる冬場に未払い分を支給するようにしたいと考えています。
以上のような場合、当社の役員報酬は定期同額給与として扱われるでしょうか。

結論

定期同額給与として取り扱われるかと思いますが、毎年の傾向であるならば、事前確定届出給与の手続きをすることをおすすめします。

解説

この事例は、売上の減少に伴う資金繰りの悪化で、一時的に役員報酬の一部が未払いとなってしまうことが定期同額給与に該当しなくなるのではないか、という点がポイントとなります。
この場合、定期同額給与に該当する役員報酬が一時的に未払いとなってしまうことに相当の理由があり、帳簿に明瞭に記載され、短期間でその未払いが解消されているのであれば、定期同額給与として扱われると考えて問題ないでしょう。
しかし、この事例のように、毎年の傾向として夏場に売上が落ち込み、冬場に回復することがわかっているのであれば、冬場に役員報酬を多く支給する旨の事前確定届出給与の手続きを行なったほうが、役員報酬を損金算入することについては、より確実になると考えられます。