ビジネスわかったランド (経営・社長)

役員給与の実務処理と節税ポイント

【事例18】 増額改定後に減額改定があった場合
事例

当社(年1回3月決算)は、業績が順調に推移していたため、6月に開催された定時株主総会で6月分からの役員報酬の増額改定を決議しました。しかしその後、業績が急激に落ち込み、借入金の返済が困難になるほどの状況になったため、取引銀行と借入金返済のリスケジュールの協議を行ない、その中で役員報酬の減額を求められたため、12月に臨時株主総会を開催し12月分からの役員報酬の減額を決議しました。
以上のような二度の改定を決議した場合、当社の役員報酬は定期同額給与として扱われるでしょうか。

結論

定期同額給与として取り扱われます。

解説

この事例を図示すると下図のようになります。
増額改定後に減額改定があった場合
役員報酬の増額改定と減額改定が事業年度中にそれぞれ一度あり、それが定期同額給与に該当するかがポイントとなります。
まず、二度の改定ですが、6月の増額改定については定時総会での改定であり、期首より3か月以内の改定であるため、「通常の改定」に該当します。12月の減額改定については事例15(業績等の悪化により役員給与の額を減額する場合)の解説で示した「第三者である利害関係者」との関係での減額改定と認められるため、業績悪化改定事由に該当します。
役員報酬の改定が事業年度中に二度あったことについては、上図に示したとおり、役員報酬の支給時期がA・B・Cの3つに分けられます。そして各支給時期が、下図で示した定期同額給与に該当するための期間的な要件(1)~(4)のうち、

支給時期A(4月~5月)上記(2)に該当
支給時期B(6月~11月)上記(4)に該当
支給時期C(12月~3月)上記(3)に該当

と要件を満たしています。
つまり、この事例は定期同額給与に該当するための規定に反する部分がありません。したがって、定期同額給与として取り扱って差し支えありません。
定期同額給与として認められる「同額」である期間