ビジネスわかったランド (経営・社長)

役員給与の実務処理と節税ポイント

【事例16】 赤字部門の担当役員に対して役員報酬の減額改定を行なった場合
事例

当社(年1回3月決算)は、当期の決算において大幅な赤字になることが確実となった部門の担当役員に対し、社内的な責任を取る意味で役員報酬を減額することとし、1月~3月の役員報酬(6月に改定したもの)を各10%減額する方向で検討しています。
以上のような減額改定を決議した場合において、減額前後の役員報酬は定期同額給与として扱われるでしょうか。

結論

定期同額給与として取り扱われず、損金不算入額となる金額が生じます。

解説

大幅な赤字となる部門を担当する役員の、社内的な責任を取る意味での役員報酬の減額改定が、業績悪化改定事由に該当するかどうかがポイントとなります。
事例15(業績等の悪化により役員給与の額を減額する場合)の解説に示したとおり、業績悪化改定事由に該当するか否かのポイントは、第三者である利害関係者との関係上、役員報酬の額を減額せざるを得ない客観的で特別な事情があるかどうかです。この事例の役員報酬減額の理由は、「社内的な責任を取る」ということであり、「第三者である利害関係者」との関係での減額改定ではないため、業績悪化改定事由には該当せず、損金不算入額となる金額が生じます。
損金不算入となる金額は、減額される10%相当額に満額支給されていた6月~12月の月数である7を掛けた金額となります。