ビジネスわかったランド (経営・社長)
役員給与の実務処理と節税ポイント
【事例14】 合併に伴い役員報酬の増額改定がある場合
- 事例
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当社(年1回3月決算)には以前より販売子会社がありましたが、10月1日より販売子会社を吸収合併することになりました。当社の取締役Aは、販売子会社の取締役も兼務しており、合併後も当社の取締役として留任し、当社および販売子会社で行なっていた職務を引き続き担当していく予定です。
取締役Aに対し、現在は当社で月額70万円、販売子会社で月額50万円の役員報酬を支給していますが、合併後は当社にて月額120万円の役員報酬の支給に増額改定する予定です。
この場合、取締役Aの役員報酬は定期同額給与として扱われるでしょうか。
結論
解説
販売子会社を合併し、取締役Aに子会社で行なっていた業務をそのまま兼務させることになるわけですが、親会社からみれば、取締役Aは職務が大幅に増えることになるため、重大な職務内容の変更に該当すると考えられます。
一方、取締役Aからみると、これまで2社に分けて行なっていた職務内容を1社で行なうことになり、役員報酬も2社から受け取っていたものを1社から受け取ることになるだけで、報酬総額も変わりません。この変更内容に利益調整等の恣意性が入っているとは考えられません。
したがって、この合併に伴う役員報酬の増額改定は、臨時改定事由に該当し定期同額給与として扱われると解されます。
参考
具体的には、役員報酬月額120万円であった取締役が、親会社からの役員報酬が70万円に減額される一方で、子会社からは役員報酬50万円が新たに支給されるような変更が該当します。
このような場合も、この事例と同様な理由(会社側→重大な職務内容の変更、取締役側→業務内容、報酬総額とも変わらず)により臨時改定事由に該当し定期同額給与として扱われると解されます。
また、分社化に伴って親・子会社の取締役を兼務する者の役員報酬月額が増額された場合、たとえば上記の例と同様、役員報酬月額120万円の取締役が、親会社からの役員報酬が70万円に減額される一方で、子会社からは役員報酬70万円が新たに支給されるような変更(役員報酬月額が計140万円)があった場合はどうでしょうか。
このような場合、たとえば子会社で役付取締役になり責任が重くなっている等、今までの業務以外の変更があれば、定期同額給与として扱われると思われます。
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