ビジネスわかったランド (経営・社長)

役員給与の実務処理と節税ポイント

【事例10】 予算未達成による減額改定があった場合
事例

当社(年1回3月決算)は、経営管理に予算制を採用しており、中間決算で予算を達成できなかった部門の担当である取締役は、中間決算の結果が判明する12月より、取締役会の決議を経て役員報酬(毎年6月に改定)が減額されることになっています。
以上の理由により役員報酬が減額された場合、当社の役員報酬は定期同額給与として扱われるでしょうか。

結論

定期同額給与とは認められず、改定差額が損金不算入となります。

解説

予算未達成が臨時改定事由および業績悪化改定事由に該当するか否かがポイントになります。
事例9(病気のため職務の執行ができない場合)の解説のとおり、臨時改定事由に該当するためには、その事由が「定期給与の額の改定時には予測しがたい偶発的な事情等」である必要があります。しかし、この事例の場合、予算編成時に予算を達成できないこともあることは、通常、十分に予測されますので、臨時改定事由には該当しません。
また、予算未達成程度では、業績悪化改定事由の要件である「経営状況の著しい悪化」とまではいえず、業績悪化事由にも該当しません。
したがって、この事例での減額は、定期同額給与の要件を満たしませんので、改定により減額する金額の6か月分(6月分~11月分)が損金不算入となります。