ビジネスわかったランド (経営・社長)
役員給与の実務処理と節税ポイント
【事例9】 病気のため職務の執行ができない場合
- 事例
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当社(年1回3月決算)の代表取締役は、病気の治療のため3か月間の入院が必要となりました。入院により、当初予定していた代表取締役としての職務の執行が一部不可能となったため、取締役会を開催し代表取締役の役員報酬の減額を決議しました。
その後、代表取締役は予定どおりに退院し、入院前と同様の職務の執行が可能となったことから、取締役会を開催し、入院前の役員報酬と同額に戻す決議を行ないました。
以上の場合において、代表取締役の役員報酬は定期同額給与として扱われるでしょうか。ちなみに、本事業年度中の代表取締役の役員報酬額は、以下のとおりです。4月より8月まで 月額60万円 9月より11月まで(入院期間中) 月額20万円 12月より3月まで 月額60万円
結論
解説
この点について国税庁は、平成20年12月発行の「役員給与に関するQ&A」で、「代表取締役の職制上の地位の変更はないものの、これまで行ってきた役員としての職務の一部を遂行することができなくなったという事実が生じており、職務の内容の重大な変更その他これに類するやむを得ない事情があったものと考えられますので、臨時改定事由による改定に当たり、定期同額給与に該当することとなります」と解説し、また、「退院後、従前と同様の職務の執行が可能になったことにより、取締役会の決議を経て入院前の給与と同額の給与を支給することとする改定についても『役員の職務の内容の重大な変更その他これに類するやむを得ない事情』に該当することとなります」と述べています。
したがって、この事例の二度の役員報酬の改定とも臨時改定事由による改定に当たり、定期同額給与に該当するため、損金不算入額はありません。
なお国税庁は、上記解説と同じ部分で、臨時改定事由の考え方について示しています。
具体的には、「事業年度開始の日から3か月までにされた定期給与の額の改定時には予測しがたい偶発的な事情等による定期給与の額の改定で、利益調整等の恣意性があるとはいえないものについても、定期同額給与とされる定期給与の額の改定として取り扱うこととしているものです。どのような事情が生じた場合が臨時改定事由に当たるかは、役員の職務内容など個々の実態に即し、予め定められていた役員給与の額を改定せざるを得ないやむを得ない事情があるかどうかにより判断することになります」というものです。
この考え方をフローチャートにしたものが、下図です。
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