ビジネスわかったランド (経営・社長)

役員給与の実務処理と節税ポイント

【事例5】 当期の初日に改定し、その後さらに改定した場合
事例

当社(年1回3月決算)は、当期首に臨時株主総会を開き、4月支給分からの役員報酬を増額改定しました。その後、6月の定時株主総会で、6月支給分からの役員報酬のさらなる増額改定を行ないました。この場合の役員報酬は定期同額給与となるでしょうか。

結論

定期同額給与として取り扱われます。

解説

この事例を図示すると下図のようになります。
当期の初日に改定し、その後さらに改定した場合
すでに触れていますが、法人税法施行令69条1項1号には、定期同額給与に該当するための要件として、通常の改定、臨時改定事由による改定、業績悪化改定事由による改定のいずれかの事由に該当することとともに、「事業年度開始の日または給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日またはその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの」と定められています。
複雑な言い回しですが、要は、

(1) 事業年度開始の日から事業年度終了の日までの間

(2) 事業年度開始の日から給与改定後の最初の支給時期の前日までの間

(3) 給与改定前の最後の支給時期の翌日から事業年度終了の日までの間

(4) 給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日までの間

の各支給時期における支給額が同額であれば、定期同額給与として認められます(下図参照)。
定期同額給与として認められる「同額」である期間
この要件をこの事例に当てはめてみると、

・定時株主総会での改定は通常の改定に該当すること

・定時株主総会での改定前の給与(上記(2)に該当)、改定後の給与(上記(3)に該当)ともに同額であること

となり、定期同額給与の要件を満たすので、損金算入が認められます。
法人税法施行令で、定期同額給与に該当するか否かの判定をする期間の定めが上記(1)~(4)のとおり事業年度内のみに限られている以上、事業年度内で(1)~(4)に該当するか否かを考えることになります。したがって、期首の役員報酬改定、つまり前期末と今期首の役員報酬が同額であることは、結果的に考えなくてよいことになります。