ビジネスわかったランド (経営・社長)

役員給与の実務処理と節税ポイント

【事例1】 役員報酬を株主総会の翌月分から増額した場合
事例

当社(年1回3月決算)は、定時株主総会を6月25日に開催し、役員報酬(毎月末日支給)を従来の50万円から60万円に増額する決議をしました。ただし、増額して支給を始める日を6月30日からではなく、7月31日支給分から適用することになりました。
この場合、定期同額給与の要件とされている「改定前後の各支給時期における支給額が同額であるもの」を満たさなくなり、損金不算入となる金額が発生することになるのでしょうか。

結論

4月から6月が一定(50万円)で、7月から翌年3月までが一定(60万円)であれば、「改定前後の各支給時期における支給額が同額であるもの」という要件を満たし、それぞれが定期同額給与に該当し、損金不算入額は発生しません。

解説

この事例を図示すると下図上段のようになります。この場合、6月25日に株主総会で決議し、その後の6月30日に改定前の金額で支給するため、定期同額給与の要件を満たさなくなるのではないか、下図下段のように6月30日は改定後の金額で支給しなければならないのではないか、という疑問です。
役員報酬を株主総会の翌月分から増額した場合
この点について国税庁は、平成20年12月発行の「役員給与に関するQ&A」でその考え方を示しています。具体的には、

(1) 役員の職務執行期間は、一般に定時株主総会の開催日から翌年の定時株主総会開催日までの期間であると解される。

(2) 定時株主総会における役員報酬額の改定は、その定時株主総会の開催日から開始する新たな職務執行期間に係る報酬の額を定めるものであると考えられる。

(3) この例の場合、6月25日から開始する新たな職務執行期間に係る報酬の支給時期を、直後の6月30日ではなく、翌月の7月31日であるとする定めも一般的と考えられる。

と示されているため、上図上段のような決定および支給であっても定期同額給与に該当し、損金に算入されます。