ビジネスわかったランド (経営・社長)

役員給与の実務処理と節税ポイント

継続的に供与される経済的な利益の取扱いは?
 経済的利益として給与課税されるもののうち、毎月の金額がほぼ一定のものは、定期同額給与に含まれます。

役員に社宅を貸与し、家賃を徴収しなかったり、通常の家賃よりも低い額の家賃しか徴収しないときには、通常支払われるべき賃貸料の額と、実際に徴収している家賃の額との差額が経済的利益となります。
会社からの低利借入れや、会社が契約した保険の保険料など、役員が受けた毎月一定の経済的利益は定期同額給与となります。

<< 1.経済的利益は給与として課税される >>

(1)役員に社宅を貸し付けた場合
役員に社宅を貸与して家賃を徴収しなかったり、通常の家賃より低い額の家賃しか徴収しないときには、通常支払われるべき賃貸料の額と、実際に徴収している家賃の額との差額が現物給与として課税されます。

(2)金銭の貸付け
法人が役員に金銭を無償で融資した場合、または低い利率で融資を行なった場合には、通常、受け取るべき利息と徴収した利息との差額が現物給与として課税されます。ここで、通常、受け取るべき利息の計算の元となる利率は、次のいずれかにより求めます。
イ.その融資資金が他から借り入れたことが明らかである場合は、その借入金の利率
ロ.イ以外の場合は、前年の11月末日現在の公定歩合+4%の利率
したがって、役員が法人の自己資金から金利2%で借り入れた場合には、平成24年中であれば4.3%(平成23年11月末日現在の公定歩合は0.3%のため)と、法人から借り入れた金利2%との差額に相当する利息、2.3%相当額に課税されることになります。
ただし、会社の借入金の平均調達金利など合理的な貸付利率を定めて、その利率により利息を徴収している場合の経済的利益については課税されません。

(3)保険料
ある一定の生命保険を法人が掛けた場合に給与課税されるケースがあります。たとえば、法人が契約者、役員を被保険者、生存保険金の受取人をその役員、死亡保険金の受取人をその役員の遺族とする養老保険などがその一例です。この養老保険については、その支払った保険料の額に相当する金額は、その役員に対する給与とみなされ、課税されます。

<< 2.経済的利益は定期同額給与に含められるか >>

これらの(1)から(3)のように、経済的利益がおおむね毎月同額のものについては、給与課税される金額がほぼ一定であり、定期同額給与の範囲に含められることになります。
したがって、法人税法上の損金の額に算入されます。

著者
望月 重樹(税理士)
2012年4月末現在の法令等に基づいています。