ビジネスわかったランド (経営・社長)

役員給与の実務処理と節税ポイント

事前確定届出給与の届出額はどのように決めるのがよいか
 不相当に高額な部分は損金に算入されないので、その法人の業種や収益状況、従業員数などを勘案して決めます。

支給総額は変わらなくても、事前確定届出給与を導入すると資金繰りに影響が出る場合があるので留意してください。
支給総額を変える場合には、利益計画にも影響するので、全社的な経営計画を立てるようにします。
事前確定届出給与の適用を受けたければ、遅くとも会計期間開始の日から4か月経過の日までに届を出さなければなりません。
4か月以上経過したあとで、「今期は利益が出そうだから、役員に対するボーナスを増やそうか」などということは認められません。

<< 1.事前確定届出給与の届出額の決め方 >>

では、届出額はどのように決めたらよいのでしょうか。
類似法人の支給状況から定める方法があります。日本実業出版社の『社長・役員の報酬・賞与・退職金 最新支給データと税務Q&A』といった出版物を参考にする方法です。事前確定届出給与であっても、不相当に高額な部分は損金に算入されません。その法人の業種や、収益状況、従業員数などからみて、不相当に高額と認められない範囲内の金額にしておく必要があります。
また、これまで賞与を支給していない役員に対して、事前確定届出給与に該当するような給与の増額分を支給する場合、これまでとは利益の面、それから、資金繰りの面で影響が出てきます。
これまでの1事業年度の役員給与の総額と同額を、事前確定届出給与で支給するなら、利益計画における役員給与の与える影響はありません。ですが、資金計画は違います。毎月負担しているのか、それとも、毎月の支給額は少なめで、増額部分を多めにするのかで、資金がいつ、いくら出ていくのかが変わってくるからです。


<< 2.届出額を決める前に経営計画を立てる >>

前図(1)のこれまでの役員給与の金額に加えて、事前確定届出給与に該当するように、役員に対して、従業員と同じように賞与相当額もさらに支給するとなれば、利益計画にも影響を及ぼします。もちろん、資金計画も変わってきます。
以上のことから考えると、今期の経営計画(利益計画・資金計画)をキチンと立てることをオススメします。
「役員給与を月額の3か月分支給する。利益も、キャッシュもなんとかなるだろう」と思って、適当に3か月分の事前確定届出給与の支給を決めたものの、利益もあがらず、キャッシュも回らなくて「こんなはずではなかった」と、後悔することになるかもしれません。

著者
望月 重樹(税理士)
2012年4月末現在の法令等に基づいています。