ビジネスわかったランド (営業・販売)

顧客マネジメント

ハッピーコールのやり方は
 マメに励行し、継続するのがキメ手である。手土産は、ホットな情報が一番である。

ハッピーコールの意味
ハッピーコールとは、直訳すれば幸福な訪問であるが、正しくはご機嫌伺い・慶祝訪問である。とくに、ご機嫌伺いがエース格になる。
ただし、このハッピーコールには、足を運ぶ直接訪問、電話によるダイヤル訪問、はがきによるはがき訪問の、3つのパターンがある。とにかく、マメに励行し継続したい。

足マメハッピーコール
その日の訪問予定になくとも、近くまできた際はちょっと顔を出そう。相手の様子や事情を即刻判断して、長居は無用を旨としたい。招かざれる客というのが、常識である。
相手の健康や繁盛を祝し、願い、心を込めた挨拶をするわけである。基本である。

プラスアルファ主義
「事務所へ戻ろう!」と思っても、「もう1軒訪問しよう!」という気になりたい。夕方であるから、そう欲張ることでもないが、そのプラスアルファがライバルに差をつける。
あるデータによれば、5訪以上の頻度の営業担当者が75~80%の客を獲得する、という。目安ではあるが、全体的に否定をすべき内容ともいえない。
とにかく、しつこくない程度に訪問して、親しくなることが肝心だ。熱意表明である。
・ 一般客→見込客→顧客→ファン客
親しくなって、信頼感へレベルアップするわけだ。クイック至上は、むしろ赤信号。
ただし、晴れた顔の明るいハッピーコールこそ原理・原則である。もし相手に、ネクラ像の印象を与えるならば、まず共感を得られないであろう。
明るさのメーカーであれ! ネアカは、営業担当者に限らないが、人間としての第一条第一項ではないか。接客し対人交渉する仕事である以上、余韻を残すぐらいの訪問でもありたい。

手土産は情報第一
高価な手土産持参もいいが、採算割れにもなり、儲けすぎではないか?と痛くもない腹を探られ、かえって疑念を抱かすことにもなろう。
訪問販売での手土産は、新鮮な情報やホットな話材が最高であり、最も喜ばれる。
そのためには、日頃の収集を欠かせない。古くは多聞といい、情報通・知識通であり、話題のストックの豊富な人である。
招かれざる人として冷たい対応を受けるのは、マンネリな挨拶語で、話材に乏しいからである。待たれる営業担当者は、打てば響く高感度の、幅広いテーマの持主だ。

手マメなはがき訪問
とくに初訪問には、訪問当日に礼状(はがきでよい。サンクスレター)を必ず書いて相手に深い印象を与えよう。「お礼の言葉はくどくあれ!」と、アピールしておきたい。
また、しばらくご無沙汰している先にも、プッシュ中の見込み客にも、折に触れはがきを出してほしい。ルール遵守のはがきである。
はがきは、心の営業担当者!という名言もある。ワープロ時代でも、手書きのはがきは有力な販売起爆剤だ。
マメに足を運ぶ直接訪問(足マメ)、コマメな依頼と感謝を込めたはがき訪問(手マメ)の併用は、相乗効果の発揮となる。

ダイヤル訪問の活用
足マメと手マメなハッピーコールに満足しているのでは、まだ不充分であって物足りない。思いついたらダイヤルを! 折に触れての電話による訪問も仲間入りさせて、三マメといこう。
この三マメによるハッピーコールが、相手の堅い心の扉を開き、心の閂を外すのである。予期不安は追放したい。
別に通話の中身に関してはそう重く考えることもあるまい。天候の挨拶や、ゴルフのスコアや釣果など、相手の趣味にかかわるQ(質問)でもよい。
さらに、相手にフィットした新聞や週刊誌の記事を伝えるのもベターである。クリッピングサービス(カッティングサービス)と呼ぶ。相手の共鳴度は高い。
要は、心の底から好意と誠意を示す伝達を旨とすることであることだ。単なる建前的な表現では感銘度は薄い。プロ魂に徹して、本音の感謝と敬意を電話に託そう。
無論、一方通行的にぺらぺらと、長時間にわたるのも、寒心ものである。ご機嫌伺いなのだから3C主義がベスト。3Cとは、Clear(はっきり)、Correct(正しく)、Concise(簡潔に)の各頭文字であって、この3Cは、前項のはがきの文面にも当てはまる。
営業担当者と見込み客・顧客を結ぶ最短路は、電話線である。あるアメリカの営業担当者は、週の1日を、電話訪問とはがき訪問に当てて、その日は外回りをしない、と聞く。ダイヤル訪問を口マメと呼び、手マメ(マメなはがき訪問)を午前と午後に分けて実践するそうである。
単なるハッピーコールに終わらせず、相手によって次回訪問の日時の予定を取り付けたり、新商品の紹介にも活用する。

著者
坂井 尚(ビジネス評論家)
2010年6月末現在の法令等に基づいています。