ビジネスわかったランド (営業・販売)

顧客マネジメント

ファンづくりのポイントは
 人柄を信頼されなければファンはできない。お客を選別するのも重要である。また、ライバルを上回る差別化された行動をする必要がある。

人柄が武器
取引とは、別の角度からみると、お客との人間的な付合いの結果である。極論すれば、営業マンとお客との信頼関係ができ上がっていれば、商品知識やセールスの技術が不十分であっても契約は成立する。
頭脳明晰、生真面目、理論家、豊富な知識人でもない。一言でいえばお客に好かれる人柄である。このような人柄が、生まれながらにして身についている人もいれば、生活環境の中で育んできた人、努力して身につけた人もいる。
したがって、営業マンに関する本をいくら精読しても、一流営業マンになれるとは限らない。営業とは、自分自身をお客がどのように受け入れてくれるかで決まるのである。

お客は営業マンを選別する基準をもっている
お客は、毎日、たくさん会う様々な営業マンを選別する基準をもっており、それによって誰から買うかを決めている。
したがって、営業マンは自分自身に対する分析を行ない、どの点における努力が必要かを認識しておく必要がある。
お客の考える選別基準は、次のようなものである。
1.常に明るい陽気な性格である
2.話題が豊富でユーモアもある
3.親しみを感じさせる
4.訪問回数は多からず少なからず
5.お客の立場にきちんとした理解を示してくれる
6.約束は必ず守ってくれる
7.礼儀正しい。決して馴れ馴れしい態度ではない
8.売込みは執拗でもなく卑屈でもない
9.お客のために何か役に立とうと常に考えている

お客を固定(ファン)化するには、何らかの方法手段を考える以前に、自分自身の姿勢をお客にとって好ましいものにすることが先だといえよう。

営業マンもお客を選別すべきである
一方、営業マン側から考えた場合には、次のようにお客を選別することも重要な要素になる。
1.販売力もあるし、将来性もあり、経営内容もしっかりしている……こういう相手とは安定的、継続的な取引をしたいわけであるから、何とか営業マンの重点管理対象にしていく
2.そのために、接触頻度を高めるとともに接触内容も充実していく
3.お客にも「当社にとっていかに大切な顧客であるか」を認識してもらい、当方としても様々な面で応援するのでと協力を要請する。また、その裏付けとして、自社の幹部にも年何回かは定期的に訪問するよう上申する
4.具体的には、よりコミュニケーションをよくするために自社の情報を逸早く流す。また、お客の希望を迅速に処理するとともに、自社の上層部にも協力を要請する
5.自社の見学会や研修会、親睦会などにも必ず出席してくれるように勧める
6.さらに進めて固定客のための組織づくり(○○会といったもの)を行ない、個別の援助策であったものを“会”の運営事項として取り上げ、連帯感を強めてパワーアップを図る……たとえば、全員いっせいに販売キャンペーンを展開するなど、一体感とムードを高めることによって取引関係(固定化)をよりいっそう強化なものに育て上げる

固定客づくりのポイントは、営業マン自身の人柄と、お客のためにプラスになる行事を行なうことによってより絆を強めていくところにあるといってよい。

ライバルに差をつけるためにやるべきこと
取引先との人間関係と信頼関係を築き上げるためには、ライバルを上回る、あるいはライバルとは差別化された行動を起こさなければならない。
どのようにして人間関係づくりをすればよいか。主な項目を拾い上げたのが次の図表である。

単に人柄がよいというだけでなく、得意先の役に立つにはどうすればよいかを考え、担当する得意先ごとに、具体的に何をするかを決めて意識的に行動する。
しかし、得意先と営業マンとの関係である以上、その基盤はあくまでも商取引による結付きだという意識を失ってはならない。

著者
内藤 和美(経営コンサルタント)
2004年11月末現在の法令等に基づいています。