ビジネスわかったランド (営業・販売)

顧客マネジメント

顧客管理のポイントは
 惰性的、習慣的行動パターンを変え、ABC管理だけに固執せず、顧客別の行動計画を定めて実行することがポイントである。

<< 顧客別に行動目標を決めて挑戦する >>

営業マンが上手にお客を管理するための1つのポイントは、どのように行動するかにある。つまり、「どのようにして数多くのお客に会い、商談をするか」というテーマに挑戦する点にある。ところが、大半の営業マンの商談時間は少ないし、訪問軒数も少ない。
その原因は、次のような点にある。
1.お客が遠すぎる
2.朝の出発時間が遅すぎる
3.朝礼や打合わせ、お客への連絡などに時間をかけすぎる
4.お客からお客への移動時間がかかりすぎる
5.お客の担当者に会えない
6.帰社後の伝票・日報の整理に時間がかかるので早めに帰ってくる
営業マンが本気で業績アップを望むならば、上記の6項目について徹底した革命を起こすしかない。それを実行せず、市場任せ、お客任せの活動をしていたのでは、高い目標の達成は不可能である。

新しい行動パターンをつくる
そこで、営業マンは惰性的、習慣的行動パターンを次の図表のように変える必要がある。


営業マンの問題点と解決策
以上のことが実行できれば、訪問軒数が増えるのは間違いない。
さらに、突っ込でいくと、営業マンには次のような問題点がある。
1.訪問しやすいお客のところばかりへ行く
2.居心地のよいお客のところで必要以上に長居をする
3.電話で済ませる用件なのに訪問する(逆の場合もある)
4.押し込みやすいところに集中的に押し込んでノルマを達成する。そのために、信用限度をオーバーしたり、在庫過多になって回収困難に陥る
5.肌の合わないお客のところには行きたがらない
6.何回訪問しても買ってくれなそうもないようなところへの訪問を繰り返している
このような問題点を解決するためには、顧客別に訪問頻度や商談時間を決めておくことである。
その際の基準は、取引額、回収率、粗利益率、成長性、協力度合いなどから総合判断して決定すればよい。そして顧客別の行動計画表を作成して確実に実行すれば、売上、粗利益、回収率も必ず向上する。
成績の悪い営業マンほど、身にしみついた行動と既成概念から抜け出さず、惰性的、習慣的な行動パターンを繰り返している。
しかし、このしがらみを取り外さない限り前進はないものと考え、新しい行動パターンに挑戦する勇気をもたなければならない。問題は、営業マン自身の頭の切換えにある。

<< Aクラスだけの重点管理は危険 >>

営業マンの売上の大半は、取引先の中のごく一部の得意先によって得ている。これは、ABC分析を行なえばはっきり出てくる。したがって、ABC分析の結果、A(グループ)は数少ないが上得意であり、1店当りの売上高がかなり大きいことがわかる。それだけに営業マンの訪問回数も多くなり、ここを上手に管理しておけば売上が大幅に落ち込むことはないという安心感がある。
逆にいえば、Aクラスを重点に管理しているだけでは、自社の占有率が高い店だけに、市場が大きくならない限り売上が頭打ちになる危険性も孕んでいる。

ABCの管理は1つの目安にすぎない
そこで、Bランクのお客をAランクに、Cランクのお客をBランクにというように、ランクを上げる努力をする必要がある。
Bランクの中には、ライバル企業の有力店ではあるが、かなりの販売力があるだけに、もっと食い込むことができれば既存のAランクの取引先よりも有望だという場合もある。
このように考えると、Aランクだけに訪問回数を集中させるよりも、それぞれの取引先に対する取組みを検討し直してみることが大切であることがわかる。
たとえば、Aランクの得意先の中には、電話1本でも注文が取れるにもかかわらず、Aランクというだけで必要以上に訪問していることさえある。もちろん、Aランクの得意先といえども自社の占有率が低いところは、重点的に訪問することによって売上を上げる必要がある。
また、Aランクであってもこれ以上は伸びようのないところ、買ってはくれるが回収が悪い、あるいは利益率が低いという店もある。
Cランクの中にも、売上こそ小さいが利益率も取れるし、回収もよい、しかも近々、2代目に代替わりするのでそれを育成すればBランク、さらにAランクへと格上げできる可能性があるといったところもある。
ABC分析は、1つの目安にはなるが、あくまで目安であって、最終的には個々の得意先に対して対策を立てなければならない。ABC分析の結果を固定化してしまわないことである。

著者
内藤 和美(経営コンサルタント)
2004年11月末現在の法令等に基づいています。