ビジネスわかったランド (人事・労務)

募集・採用

募集時には定められた労働条件を明示する
従業員を募集する際には、法律で定められた労働条件を明示する必要がある。これは、民間の職業紹介事業者、求人情報提供者等を通じて募集する場合はもちろん、会社が自らホームページなどで募集する場合にも適用される。

法律で定められた明示しなければならない労働条件は次のとおりである。
  1. 労働者が従事すべき業務の内容に関する事項
    例)食品加工の作業
  2. 労働契約の期間に関する事項
    例)○○年○月○日~○○年○月○日
  3. 試用期間
    例)試用期間は3か月間
  4. 就業の場所に関する事項
    例)本社の事業所(東京都○○区○○1-2-3)
  5. 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間と休日に関する事項
    例)9:00~18:00、休憩12:00~13:00の1時間、週休2日制、残業・休日出勤あり
  6. 裁量労働制の場合はその旨
    例)「企画業務型裁量労働制により、○時間働いたものとみなされます」
  7. 賃金(臨時に支払われる賃金、賞与等を除く)の額に関する事項
    例)基本給は月額200,000円、皆勤手当10,000円
  8. 固定残業代制度の場合は以下の記載
    (1)基本給○○円(下記(2)の手当を除く額)
    (2)××手当
    (時間外労働の有無に関わらず、○時間分の時間外手当として△△円支給)
    (3)○時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給
  9. 健康保険法による健康保険、厚生年金保険法による厚生年金、労働者災害補償保険法による労働者災害補償保険、雇用保険法による雇用保険の適用に関する事項
    例)健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の適用あり
  10. 募集者の氏名または名称
    例)○○株式会社
  11. 派遣労働者の場合はその旨
    例)雇用形態:派遣労働者
  12. 就業の場所における受動喫煙を防止するための措置
注意点!
上記6の賃金額について、募集広告のスペース等の関係から、「当社規定に従う」という記載でも問題はないが、初回の面接などの求職者と最初に接触するまでにすべての労働条件を明示する必要がある。

募集時の労働条件と入社時の労働条件に差異が生じる場合は、当初の明示と変更後の内容を比較できる書面を交付する等により、変更内容について明示しなければならない。
2024年4月から労働者の募集や職業紹介事業者への求人の申込の際、明示しなければならない労働条件が追加されます。

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。