ビジネスわかったランド (人事・労務)

募集・採用

採否の結果を速やかに通知する
応募者は、採否の連絡が来るまで、不安な時間を過ごすことになる。採用に至らなかった場合は、別の就職先を探す必要も生じるだろう。したがって、採用する側としては、採否が決定したら、本人に対して結果を速やかに通知する必要がある。

この通知をどのような形式(書面、電話連絡など)で行なうかは会社の自由だが、言い間違いや聞き間違いを避けるためにも、できる限り書面で行なうことが望ましい。なお、採用する側には採用選考の自由があるため、採用に至らなかった理由まで通知する必要はない。

採用が決定(内定)した場合に、応募者に対してその旨を通知することは、一般には「採用決定通知」「採用内定通知」などと呼ばれる。

多くの会社では、採用内定者に書面で採用内定通知を送る際、「入社承諾書」を同封し、記入のうえ返送させている。

入社承諾書の記載例は以下のとおりである。

○年○月○日


○○○株式会社
代表取締役 ○○一郎 殿

 

入社承諾書



 このたび、貴社の採用決定通知を受け取りましたので、ここに入社をする旨を承諾いたします。また、入社に備えて健康に留意するとともに、社会人としてふさわしい行動を心がけます。
 なお、下記に該当した場合は、採用内定が取り消されても異議はありません。
 


1.健康を著しく害し、貴社での就業が困難と認められたとき
2.採用選考時の提出書類、申告内容に虚偽があったとき
3.入社日以前に不祥事を起こすなど採用を不当と考えられる事情が生じたとき
4.入社承諾書を返送期限までに返送しなかったとき

以上

 

○年○月○日
○○太郎 印

入社承諾書には、「卒業ができなかった場合」「重大な犯罪行為を犯した場合」などには採用を取り消す、という採用取消しの条件を設定することが多い。どのような採用の取消し事由を設定するかも会社の自由だが、会社側に責任がある事由(会社業績の悪化など)を設定することは慎重に判断しなければならない。

なお、採用選考時に明らかになっている事由があるにもかかわらず採用内定を決定して、その後、当該事由により採用内定を取り消すことは大きな問題を生じさせる。入社承諾書に記載する取消し事由は、会社側が採用内定決定時には把握できないもの(例:体調が悪化した場合)に限るべきだろう。
注意点!
不採用者の応募書類の扱いには、細心の注意が必要である。法律上、不採用者の応募書類を返却することは義務づけられていないが、返却しない場合は、以下の2点をあらかじめ応募者に説明する必要がある。

(1)応募書類は返却しない(一定期間保管後、破棄する)旨
(2)利用目的以外に使用しない旨
書式ダウンロード
 

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。