ビジネスわかったランド (人事・労務)

募集・採用

男女雇用機会均等法で男女差別は禁止されている
男女雇用機会均等法(正式名称は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」)は、従業員の募集・採用における性別による差別を禁止し、男女の均等な取扱いを求めている。

男女雇用機会均等法に違反した場合は、厚生労働大臣からの助言、指導、勧告等の措置を受けることがあるとともに、勧告を受けた者がこれに従わなかった場合は企業名等を公表されることがあり、また労使紛争が生じて企業イメージを損ねる可能性もあるので注意が必要である。

男女差別は、「直接差別」と「間接差別」に分類できる。

直接差別の具体的事例は次のとおりである。
  1. 女性であることを理由として、募集・採用の対象から排除すること
  2. 男女両方を募集または採用の対象としているにもかかわらず、女性または男性について募集または採用する人数を社内で設定すること
  3. 年齢、婚姻の有無、通勤の状況その他の条件を設定する場合に、女性に対して男性と異なる条件を設定すること
  4. 求人内容の説明等、募集または採用に係る情報の提供について、女性に対して男性と異なる取扱いをしていること
  5. 採用試験等について、女性に対して男性と異なる取扱いをしていること


間接差別の具体的事例は次のとおりである。
  1. 採用面接の際、女性の応募者に対して、「お茶くみや掃除等の雑用は女性従業員に任せています」と伝えること→男性従業員は通常の業務のみに従事させ、女性従業員にだけ通常の業務に加えてお茶くみ・掃除等を行なわせることは、性別によって差別をしていることになる
  2. 荷物を運搬する職種の募集にあたり、「体力に自信がある者」という要件を設定すること→体力を要件とすることに合理的な理由がない限り、男女雇用機会均等法に違反する可能性がある。
    たとえば、職場にフォークリフトなど荷物を運搬するための作業用具が配備されている場合は、体力等の要件は必須ではなく、女性を間接的に排除しているとみなされる。体力要件が特に必要である場合も、「体力に自信がある者」という漠然としたものはふさわしくなく、「○キログラムの荷物を持てること」等の具体的な記載が必要
  3. コース別雇用管理制度を導入し、総合職の募集要件として、「転居を伴う転勤に応じること」を条件としているが、隣接する地域にしか支店がなく、いまのところ転居を伴う転勤が生じることはない場合→「転居を伴う転勤」を要件とすることに合理的な理由があれば許されるが、そもそも「転居を伴う転勤」がない場合に、これを総合職採用の要件とすることは間接的な男女差別となる

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。