ビジネスわかったランド (人事・労務)

募集・採用

募集・採用の際に年齢制限はできない
会社が従業員を募集・採用する際、年齢制限を行なうことはできない。これに違反した場合は、厚生労働大臣からの助言、指導、勧告の対象となる。

この年齢制限の禁止は、ハローワークを利用する際はもちろんのこと、民間の職業紹介事業者、求人情報提供者などを通じて募集・採用する場合や会社が自ら募集・採用する場合を含め、幅広く適用される。

「年齢不問」で募集を行なうと、自社でイメージしている人材とはかけ離れた応募が増え、採用選考担当者の負担になるのではないか、という危惧を抱くかもしれない。この点については、募集条件を作成するにあたり、仕事に必要な能力、適性、経験、技能の程度など「応募者に求められる事項」をできる限り具体的に記載することにより、応募者が会社の求める人材像をイメージしやすいような工夫が求められる。

たとえば、長距離トラック運転者の募集(年齢不問)の際には、「長距離トラックを運転して、札幌から大阪までの往復を毎週2回行ない、積み荷である段ボール箱(○キログラム程度、内容物はトイレットペーパー等)を上げ下ろしする業務です。時間帯は・・・」という形にする。
注意点!
  1. 会社が自社ホームページ上において、「人材急募。ただし、30歳未満に限る」というような求人広告を掲載することも年齢制限の規定に抵触する。
  2. 求人広告に「年齢不問。ただし、30歳未満の方歓迎」というフレーズを用いることは、実質的に年齢制限を行なっているのと同じであり、適切ではない。
  3. 「社員全員が30歳未満です」「30歳未満が主役です」というフレーズ自体が、即座に年齢制限の規定に抵触するわけではないが、社員全員が30歳未満でなければならない、30歳以上には応募資格がない、と誤解されないように、求人情報に注記を加えるなどの配慮が必要となる。
  4. 募集・採用時の年齢制限の規定は派遣労働者の募集・採用にも適用される。
  5. 年齢不問としたうえで、「○○業務の経験○年以上」という業界経験を求めることは問題ないが、求めている経験年数について合理的な理由がなく、かつ、非常に長い期間が設定されている場合などは、事実上、年齢制限を意図していると解されるため、適切ではない。
  6. 特定の資格保有が応募条件としてあり、その資格試験の受験に年齢制限がある場合、または、「高校卒業以上」というように学歴条件を定める場合は、これをもって年齢制限の規定に抵触するものではない。

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。