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ポイント解説

商取引・委任・請負等に関する契約書

営業委託契約書(1)

収入
印紙(※)

営業委託契約書
 

 ○○○株式会社を委託者とし、乙山次郎を受託者として、委託者・受託者間において次のとおり営業委託契約を締結した。

第1条 (目的)委託者は、委託者の東京都○○区○○○丁目○番○号店舗における○○営業(以下「営業」という。)を受託者に委託し、受託者は、これを受託した。

第2条 (営業)営業は委託者の名義をもって行ない、販売品目、販売価格その他基本的事項は委託者の指定するところによる。受託者は、委託者の指定に従い、かつ、委託者の信用保持に留意し、これを傷つけることのないよう誠実に営業を行なう。

第3条 (報酬)報酬は、月間売上高の80%とする。
2 受託者は、毎月10日までに前月の売上高から前項の報酬を差し引いた額を委託者に送金する。
3 受託者は、毎月10日までに前月の売上に関する伝票等を添えて、月間売上高および報酬の計算書を委託者に送付する。

第4条 (受託者の義務)受託者は、委託者が要求するときはいつでも営業に関する帳簿・伝票等を委託者に閲覧させ、その説明を行なう。
2 受託者は、店舗・営業施設・商品等を善良な管理者の注意をもって管理・使用する。
3 受託者または受託者の使用人が営業に関し、またはその責に帰すべき事由による火災等により、委託者または第三者に損害を与えた場合は、受託者は自らの責任においてこれを処理し、賠償の責に任ずる。

第5条 (費用負担)受託者は、次の各号に定める費用を負担する。
 1 電気・ガス・水道・電話・清掃・衛生等に関する費用
 2 委託者と協議のうえ決定した什器・備品等の費用
委託者は、次の各号に定める費用を負担する。
 1 内装・設備に関する費用
 2 広告・宣伝に関する費用

第6条 (承認事項)次の各場合、受託者は、委託者の事前の書面による承認を得なければならない。
 1 従業員を選任または解任する場合
 2 営業を廃止あるいは休止し、または第三者に代行させる場合

第7条 (解約)委託者または受託者は、2か月前に予告することによって、本契約を解約することができる。

第8条 (解除)受託者が、本契約各条項のいずれかに違反した場合、委託者は、何ら催告することなく本契約を解除することができる。

第9条 (終了)本契約が解約・解除等により終了した場合、受託者は、直ちに、受託者の所有の什器・備品等を収去し、店舗・商品および委託者所有の設備等を、委託者に引き渡す。
2 引渡しに際し、受託者は委託者に対して、移転料、買収請求等名目のいかんを問わず一切の金銭上の請求をしない。
3 受託者は、引渡し後、店舗内に残置した物品の所有権を放棄し、委託者が適宜処分することを認める。

第10条 (期間)本契約の期間は1年間とし、委託者または受託者から、期間満了の2か月前までに更新拒絶の申入れがなされないかぎり、自動的に更新されるものとする。

第11条 (協議)本契約に定めのない事項、または、本契約の条項の解釈に疑義が生じた事項については、委託者・受託者誠意をもって協議し、円満解決をはかるものとする。

以上のとおり、営業委託契約が成立したので、これを証するため本契約書を2通作成し、委託者・受託者各署名押印し、各1通を所持する。

平成△年△月△日
 

東京都○○区○○○丁目○番○号
  委託者  ○○○株式会社
代表取締役  甲野 太郎  印

東京都○○区○○○丁目○番○号
受託者   乙山 次郎  印

(※)「委託契約書」は、契約内容を実質的に判断して「請負契約」といえるものであれば収入印紙の貼付が必要になります。請負契約に近いと思われる委託契約書については「収入印紙」欄の記載をしています。しかしながら、委託か請負かについては判断が微妙なものもありますので、契約書作成の際は、顧問弁護士等に契約内容をチェックしてもらうことをお勧めします



著者
水野賢一(弁護士)