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ポイント解説

土地建物の賃貸借に関する契約書

借地権設定契約書(期限付建物売買…譲渡後建物の賃貸をするもの)

収入
印紙

  借地権設定契約書(建物譲渡特約付)  
  甲野太郎を賃貸人とし、乙山次郎を賃借人として、賃貸人・賃借人間において、次のとおり建物譲渡特約付借地権設定契約を締結した。
第1条 (目的土地)賃貸人は、その所有する下記土地(以下「本件土地」という。)を賃借人に賃貸し、賃借人は、これを賃借することを約した。
 
  所 在
地 番
地 目
地 積
奈良県○○市○○町
△番
宅地
○○.△△平方メートル
第2条 (使用目的)賃借人の本件土地の使用目的は、下記建物所有とする。
 
  鉄骨コンクリート造陸屋根3階建
  床面積 1階 ○○.△△平方メートル
2階 ○○.△△平方メートル
3階 ○○.△△平方メートル
第3条 (期間)賃貸借の期間は、平成○年○月○日から、平成○年○月○日までの○年間とする。
2  本件借地権は、平成○年○月○日、本件土地上の建物(前条の建物および増築・改築・再築されたものを含む。以下「本件建物」という。)を賃借人が賃貸人に対して相当の対価で譲渡することにより消滅する。
第4条 (賃料)賃料は、1か月金○○円也とし、賃借人は、毎月末日までに翌月分を賃貸人の○○銀行△△支店・普通預金・番号○○○○○○○に送金して支払う。
2  賃料が、土地に対する租税その他の公租公課の増加、土地の価格の上昇その他の経済事情の変動、近隣の賃料との比較により不相当となったときは、賃貸人は賃借人に対し、賃料の増額を請求することができる。
第5条 (禁止事項)賃借人は、次の場合、事前に賃貸人の書面による承諾を受けなければならない。
 借地権の全部または一部を譲渡または転貸する場合
 建物を増築・改築または再築する場合
 本件土地の用法または使用目的を変更する場合
第6条 (建物譲渡特約)賃借人は、賃貸人に対し、平成○年○月○日、本件建物を相当の対価で譲渡し、賃貸人は、これを買い受ける。
2  賃借人は、賃貸人に対し、平成○年○月○日までに、賃貸人の求めにより、本件建物の現況および賃貸借を含む使用状況などについて、必要書類を提示するなどして情報を提供しなければならない。
3  本件建物の相当の対価については、賃貸人・賃借人の協議により定めるものとし、協議が整わない場合には、両者の選任した不動産鑑定士の鑑定評価によるものとする。
第7条 (建物譲渡の効果)本契約による借地権は、前条1項の建物譲渡により消滅し、本件建物の所有権は、平成○年○月○日、賃借人から賃貸人に移動する。
2  賃借人は、賃貸人とともに、本件建物の所有権移転後すみやかに、相当の対価を受けるのと引換えに、賃借人の負担で、本件建物の所有権移転登記手続きをし、かつ、本件建物の引渡しおよび本件建物の管理運営に必要な一切の書類の引渡しを行なう。
3  賃貸人は、賃借人とともに、本件建物の所有権移転後すみやかに、本件建物の所有権移転登記手続きを行い、本件建物および本件建物の管理運営に必要な一切の書類の引渡しを受けるのと引換えに相当の対価を支払う。
第8条 (仮登記)賃借人は、前条の所有権移転登記の順位を保全するため、本件建物の表示・保存登記と同時に、他の所有権移転請求権および担保権に優先する最先順位の所有権移転の仮登記手続きを行なう。
2  賃借人が、本件建物を増築・改築または再築した場合は、その表示、保存登記と同時に、最先順位の所有権移転の仮登記手続きを行なう。
3  仮登記手続きの費用は、賃借人の負担とする。
第9条 (建物賃貸借)第6条の建物譲渡によって借地権が消滅した場合、本件建物の使用を継続する賃借人が請求したときは、請求のときに、賃貸人・賃借人間において、賃借人が使用を継続している本件建物について期間の定めのない賃貸借がなされたものとする。
2  前項の賃料は、賃貸人・賃借人の協議のうえ定めるものとし、協議が整わない場合は、両者の選任した不動産鑑定士の鑑定評価によるものとする。
第10条 (建物賃貸借の通知)賃借人は、平成○年○月○日以降に、本件建物の全部または一部を新たに賃貸し、または、借家人の転貸を承諾しようとする場合には、あらかじめ賃貸人に対し、書面で通知しなければならない。
第11条 (解除)賃借人が次の1つに該当した場合、賃貸人は、催告なくして、直ちに本契約を解除することができる。
3か月以上、賃料の支払いを怠った場合
賃料の支払いを何度も遅延するなどして、賃貸人との信頼関係を著しく破壊した場合
本契約に違反した場合
第12条 (明渡し)本契約が期間満了、解除その他の事由により終了したときは(建物譲渡特約による消滅の場合を除く)、賃借人は、直ちに本件土地を原状に復して、賃貸人に明渡さなければならない。
2  建物譲渡特約により借地権が消滅した場合で、賃借人が、第9条の請求をしないときは、賃借人は、賃貸人に対し、本件建物を明渡さなければならない。
3  明渡しに際し、賃借人は、賃貸人に対し、立退料その他一切の金銭上の請求をしない。
4  賃借人は、明渡し後本件土地上(第2項の場合は本件建物内)に残置した物品の所有権を放棄し、賃貸人が適宜処分することを認める。
第13条 (合意管轄)本契約に関する紛争については、賃貸人の居住地の地方裁判所を管轄裁判所とする。
  以上のとおり、建物譲渡特約付借地権設定契約が成立したので、これを証するため本契約書を2通作成し、賃貸人・賃借人各署名押印のうえ、各1通を所持する。


  平成○年○月○日
奈良県○○市○○町○丁目○番○号  
賃 貸 人  甲 野 太 郎 
奈良県○○市○○町○丁目○番○号  
賃 借 人  乙 山 次 郎 
 
 


著者
水野賢一(弁護士)