ビジネスわかったランド (総務・庶務)

取締役会の運営

業務執行の決定権限の委譲とは?

重要な業務執行でも細部は代表取締役に一任できる
取締役会の専決事項については、たとえ定款や取締役会決議によっても、代表取締役やその他の取締役に一任することはできない。
しかし、専決事項に関することはどんな細かなことでも取締役会が決めなければならないとまで求められているわけではない。
取締役会が重要な部分を決定したならば、これに沿った具体的で細かな部分については、決定を代表取締役に任せることができる。代表取締役は委任された範囲で自ら決定し、執行できることになる。
また、とくに日常の業務(常務)についての決定は、代表取締役に選定されたことにより、当然に委任されたものとしてよい。

代表取締役以外の取締役に一任することもできる
取締役会から決定権限を委譲するのは、代表取締役に限られるわけではない。その他の取締役に決定を一任することもできる。
たとえば、取締役会から業務担当取締役に、その担当業務に関連する事項の決定権限を一定の範囲で与えることは、通常行なわれている。この場合、どこまでの権限を与えたのかが明確になるように、基準を明示しておくことが重要である。
なお、取締役が任された事項を部下に一任することはできない。

株主総会に決定権限を委譲できる
株主総会は、会社で最高の機関であり、会社にとって最も基本的な重要事項を決定しなければならない。
そして、それら以外の事項であっても、総会が自ら決定したいと希望するのであれば、定款に定めをして株主総会の所轄事項とすることができる。
しかし、あくまで会社にとって基本的で重要な業務執行事項に限るべきである。
なぜなら、会社は、株主によって選ばれた取締役が構成する取締役会に、業務に関する判断を委ねて経営されるという基本原則を歪めることはできないからである。

著者
安部井 上(弁護士)
2011年8月末現在の法令等に基づいています。