ビジネスわかったランド (総務・庶務)

取締役会の運営

取締役会と内部統制システムの関係は?

内部統制システムの必要性
株式会社は多くの株主から資本を集めて営利を目指す集団である。その活動は法令と定款に規制されており、それに適ったものでなければならない。
会社の業務活動を適正なものにするには、株主総会の運営から取締役、代表取締役による業務執行、従業員による職務行為、監査役の監査まで、あらゆる分野において法令・定款に則った活動となるよう留意しなければならない。
会社の各機関は、役員選任・解任権、調査権、報告徴求権、監督権などによって相互に監視し合う関係にあるが、それらを含む会社業務全般に関して、具体的なシステムやルールをつくって、それを守っていくことが適正な会社運営への近道と言えよう。そのような仕組みの全体を内部統制システムと呼ぶ。

大会社と内部統制システム
内部統制システムの決定は、取締役会設置会社では取締役会の権限であり、取締役会非設置会社では取締役の過半数で決定するものである。
そして、大会社については、取締役会ないし取締役の過半数の決議により内部統制システムを決定することが義務づけられている。内部統制システムは次のような事項を目指して制定される。

(1)取締役の職務執行の適正確保
(2)取締役の職務執行に関する情報の保存・管理
(3)リスク管理
(4)取締役の職務執行の効率性確保
(5)使用人の職務執行の適正確保
(6)親会社・子会社の集団における業務執行の適正確保
(7)監査役を補助する使用人の独立性確保
(8)監査の実効性の確保

中小会社と内部統制システム
中小会社では、内部統制システムの決定は義務づけられてはいないが、基本的な必要性は大会社と変わらない。経営の安定のためにも、実情に応じて、できるだけ効率的なシステムにしておくことが望ましい。


著者
安部井 上(弁護士)
2011年8月末現在の法令等に基づいています。