ビジネスわかったランド (総務・庶務)

取締役会の運営

取締役会の招集権者は誰か?

取締役会の招集
取締役は誰でも取締役会を招集できるというのが会社法の原則である。
取締役会設置会社の取締役は、単独で権限をもっているのではなく、取締役全員で構成する取締役会という機関を通じて初めて会社の業務執行の決定などを行なうことができる。
したがって、取締役会が何かを決める必要がある場合には、どの取締役も取締役会を招集できなければならないわけである。

もっとも、常にすべての取締役が招集権をもつことにすると、社内の手続きはかなり煩雑になる。そこで取締役会を招集できる取締役をあらかじめ定款または取締役会で決めることが認められており、手続きを明確にするうえでは、取締役会を招集できる取締役を決めておいたほうがよいだろう。

招集権者が招集を怠るとき
しかし、たとえば、代表取締役だけが取締役会を招集できると決めていた場合に、代表取締役が独断で違法な行為をしており、しかも取締役会を招集しようともしないとき、他の取締役にとって不都合がある。
そこで、そのような場合には、各取締役は招集権をもつ取締役(ここでは代表取締役)に対して、取締役会の目的である事項を示して、取締役会の招集を求めることができる。
そのうえ、代表取締役がこの招集の請求を握りつぶしているような場合のために、請求があってから5日以内に、請求から2週間以内の日を会日とする取締役会の招集通知がなされないときは、請求をした取締役が自ら取締役会を招集できることになっている。

なお、各監査役も一定の要件のもとに取締役会招集請求権と取締役会招集権をもつ。
取締役会は、株主総会とは違い、必要があるときにいつでも、必要と思う者によって積極的に招集されることが期待されているのである。


著者
安部井 上(弁護士)
2011年8月末現在の法令等に基づいています。