ビジネスわかったランド (総務・庶務)

取締役会の運営

取締役会の招集手続きはどうするのか

招集は1週間前に通知
取締役会には、取締役が集まって、会社の業務に関する広範な事項について討議を尽くし、それぞれの取締役の知識・経験を結集させることが期待されている。
したがって、すべての取締役について、取締役会に出席する機会が確保される必要がある。
招集通知は、原則として、取締役会の日から1週間前に出さなければならない。
会日より1週間とは、招集通知の発送日と会日とを含まないで、その間に1週間(7日)なければならないということである。
発送した招集通知が取締役に到達しなかった場合でも、招集手続きは有効である(発信主義)。

招集通知の省略
招集通知が必要とされるのは、取締役会への出席の機会を確保するためなので、取締役全員(監査役設置会社の場合には、監査役全員も含めて)の同意があれば、招集手続きを省略できる。
たとえば、たまたま取締役全員が集まった際に、招集手続きを省略することを合意して取締役会を開く場合などである。その際、取締役全員が取締役会の権限事項について協議決定したときは、招集手続きの省略について明示の同意がなくてもよいとされる。
また、一部の取締役が欠席していても、事前にその取締役の同意を得ているような場合には、招集通知を省略してよい。
さらに、取締役会規則で、「毎月第1水曜日午後1時に本社会議室で開催する」というように、あらかじめ具体的に取締役会の開催の予定が決められている場合(定例取締役会)には、取締役は出席の機会を奪われることはないので、招集通知を省略できる。

招集通知の期間短縮
招集通知の期間は、定款で定めた場合に限って、1週間よりも短縮することを認められている。実際にも、3日前後に短縮している会社が多い。
なお、緊急を要する場合などに、取締役全員の同意があれば、招集通知の期間を短縮できることは当然である。

招集通知は口頭でもよい
招集通知は、口頭または電話でもよい。実際にも、手続き上簡単な口頭ないし電話での招集によっている場合が多いであろう。
しかし、招集手続きが適正になされたか、争いが起きるおそれがあることを考えれば、時間的な余裕がある限りは書面による招集のほうが安全・確実である。

監査役への招集通知
会社法は、取締役会が違法な決議をしようとする場合に、監査役にこれを事前に防止する機会を与える目的で、監査役に対して、取締役会に出席する義務を課し、意見を陳述する権限を認めている。
したがって、監査役が取締役会に出席する機会を確保するためにも、取締役に対するのと同様の招集通知が必要である。しかし、この監査役の取締役会への出席権や意見陳述権は、定款の定めにより業務監査を行なわずに会計監査だけを行なう監査役には認められていないので、会計監査限定監査役に対しては、取締役会の招集通知を出す必要はない。

議題は記載しなくてもよい
株主総会の招集通知とは異なり、取締役会の招集通知には議題が記載されていなくてもよい。
しかし、重要な議題があるときは、招集の際に通知しておくほうがよいだろう。



著者
安部井 上(弁護士)
2011年8月末現在の法令等に基づいています。