ビジネスわかったランド (総務・庶務)

取締役会の運営

招集手続きが不備となるのはどんなケースで、不備があるとき決議の効力はどうなるのか

取締役会の招集手続きに不備(瑕疵)があった場合に、開催された取締役会の決議の効力はどうなるかという問題がある。


問題となる不備
たとえば、次のようなケースで、取締役会決議の効力を認めてよいだろうか。
(1) 取締役(監査役設置会社の場合には監査役も含まれる)に対する招集通知に漏れがあった場合
(2)招集権者の招集がないにもかかわらず、取締役会が開かれた場合
(3)招集通知と会日までの期間が不足していた場合

不備がある取締役会決議の効力
すべての取締役には取締役会への出席の機会が保障されるべきであるから、(1)のような不備があった場合には、実際に取締役会が開かれて決議があっても、その決議は無効となる。
しかし、一部の取締役に招集通知が欠けていた場合でも、その取締役が出席してもなお取締役会の決議の結果に影響がないと認められる「特段の事情」があれば、不備は決議の効力に影響がないので有効との判例がある。
招集通知がないままに取締役会が開かれた(2)の場合には、取締役全員が事前に、招集手続きの省略に同意していれば有効な取締役会である。

(3)の不備がある場合では、あらかじめ全員が招集通知期間の不足を了承していたとき、あるいは取締役全員が出席して通知期間不足について異議をはさまず取締役会を開催したときには、有効な取締役会である。
招集手続きの不備などということが問題にされるのは、たとえば取締役会内部に内紛がある場合などであろう。それだけに、わずかな手続きミスでも問題となってしまう。次のような事前の対策が有益である。

(a)できるだけ定例取締役会の日を前もって決めておく。
(b)通知期間の短縮についてもあらかじめ定めておく。
(c)電話等による通知でも有効なのだから、緊急に招集するときは臨機応変に対応する。


著者
安部井 上(弁護士)
2011年8月末現在の法令等に基づいています。