ビジネスわかったランド (総務・庶務)

取締役会の運営

取締役会の議長は誰が務めるのか? また、その権限の範囲は?

取締役会の議長
議長については会社法にとくに定めはない。取締役会は出席した取締役が協議や意見交換をして会社の業務の執行を決定する会議体だから、議事進行のいわば交通整理をする議長が必要であり、その人選も取締役会に任されている。
実際には、定款や取締役会規則で、社長や取締役会長が議長になると定めている会社が多く、議長と定められた者が亡くなったり事故があった場合に備えて、次の議長の順序を決めておくことも少なくない。
もし、次に議長となる者が決まっていない場合には、原則に戻って取締役会で選出することになる。
なお、取締役以外の者が議長になることはできない。

議長の権限の範囲
議長の役割は、取締役会で協議を尽くさせて、議事を円滑に進めることであり、議長の権限もその範囲に限られる。たとえば、重複した発言や不規則発言などを止めさせたり、協議の進行を妨害する者を制止したりする権限である。これらの権限は、取締役会から議長に委任されたものであり、その権限の行使については、取締役会の監督を受ける。
なお、個々の取締役は、会社に対する忠実義務に基づいて、決議に参与したり、職務執行を監視すべき立場にあるから、取締役会の議長は、株主総会の議長に認められる、会議の秩序を乱す者を議場から退場させるような権限はもっていない。

取締役会の開会と閉会
取締役会は、議長の宣言で開会される。構成員に取締役会が開始されることが認識される方法で宣言されればよい。
閉会の形式についても、とくに定めはないが、実際にどの時点で取締役会が閉会されたかは重要である。
閉会されたと思って一部の者が退席してしまったところ、残った者だけで審議を継続して勝手な決議をしたなどということにならないように、議長がはっきりと閉会宣言をすることが重要である。


著者
安部井 上(弁護士)
2011年8月末現在の法令等に基づいています。