ビジネスわかったランド (総務・庶務)

取締役会の運営

取締役会議題の提案権とは?

提案権とは
会議で討議し、決定をしてもらうために、その会議のテーマ(議題)を提出する権限を提案権という。
株主総会の場合には、取締役会がこの議題を決めて株主を招集をするのが原則だが、一定の要件のもとに、株主による提案権も認めることにしている。

では、取締役会の場合には、誰がこの議題を決めればよいのか。取締役会は、原則として各取締役が招集する権限をもつとされていることからも、取締役会の提案権は各取締役がもっているといってよい。
そもそも、取締役は、会社の状況に応じて、取締役会に業務に関する決定をさせたり、あるいは代表取締役の業務の執行に問題がある場合には、指摘して是正させる義務を負っている。したがって、この義務を果たすためにも、各取締役が取締役会の提案権をもつのは、いわば当然といえよう。

招集権者を決めている場合
会社法は、取締役会を招集する権限を特定の取締役に制限することを認めているが、これは取締役会の招集に関して混乱が生じないようにするためである。
したがって、取締役の職責を果たすためにも、招集された取締役会で、各取締役が議題を提出することを制限するものではない。
ところで、招集権者を制限している場合に、他の取締役が招集を求めるには、会議の目的を示すことが必要である。
そして、この請求が入れられない場合には、招集の請求をした取締役自身が取締役会を招集できるとされる。
そこで、これらの場合に、取締役会は会議の目的(議題)に拘束されて、各取締役の提案権が制限されるのかが問題となる。
しかし、この場合でも、提案権は制限されず、取締役が取締役会の席上で議題として提案した事項は、そのまま当然に、議題とすることができる。


著者
安部井 上(弁護士)
2011年8月末現在の法令等に基づいています。