ビジネスわかったランド (総務・庶務)

取締役会の運営

取締役会の議案の追加・変更はできるのか

招集通知に記載された議題だけに限られない
取締役会の招集の通知には、たとえば、「1.第3回株主総会の招集について、2.株式分割について、3.支配人の選任について」というように、取締役会で審議する議題を記載することが多いが、議題を記載しない招集通知でも、招集通知として何も問題がない。株主総会とは異なって、招集通知に議題を記載しなくてもよい。
招集通知に議題を記載した場合については、そこに記載のない議題は審議できないのかが問題となる。この点については、招集通知の議題の欄に「その他」と記載されていればよいという見解もある。

だが、取締役会が開かれた機会に必要に応じて審議を求めるのは、各取締役の権限であり責務でもある。
取締役から新しい議題が提案されたときは、当然に議題として追加される。出席取締役の過半数の賛成によって採択されなければ議題にできないと考える必要はない。
なお、招集権を有する取締役を決めている会社で、他の取締役の招集請求により招集権ある取締役が招集した場合や、請求した取締役が自ら招集した場合についても、請求にあたって示された「会議の目的」に拘束されない。

議題の審議の順番は変更できるか
招集通知にいくつかの議題が記載されている場合には、その順番にしたがって審議がなされるのが通例であろうが、この記載順序自体には特別の拘束力はない。
したがって、議長の判断で、その場の事情により審議の順番を入れ替えても特に問題はない。
取締役から動議が提出され、出席取締役の過半数の賛成によって採択された場合に限り、審議する議題の順番を変更できるとする見解もあるが、無用の拘束である。
ただし、争いを避けるためには、招集通知に議題を示すときは単純に列記するようにして、番号を付さないことである。


著者
安部井 上(弁護士)
2011年8月末現在の法令等に基づいています。