ビジネスわかったランド (総務・庶務)

取締役会の運営

取締役会議事録の決議・報告の記載方法は?

決議の記載方法
取締役会議事録には「議事の経過の要領」と「議事の結果」、つまり決議の結果が記載される。
議事の経過の要領については、どのような討議等の過程を経て決議に至ったかを記載すべきである。これに対して、決議の結果については、結論とともに決議の要件が満たされていることを明確に記載しておく。

たとえば、次のような記載である。
(1)取締役の全員一致で可決された場合は、「出席取締役全員異議なく承認可決された」と記載する。
(2)全員一致でない場合は、「出席取締役の賛成多数で可決された」あるいは「出席取締役の賛成少数で否決された」と記載する。
その際に、取締役の責任を明確にするために、賛成・反対・棄権について各取締役の氏名を記載すべきである。
会社法上、取締役会の決議で、決議に反対した取締役でも、反対者として氏名を明記するなどの方法で議事録に記載しておかないと、決議に賛成したものと推定されてしまう。したがって、そのような場合、取締役は決議に反対したことを立証できずに、決議に賛成した者と同様の損害賠償責任を負うことになってしまう。
(3)定款で決議の要件が加重されている場合には、具体的に出席取締役と賛成数を示して、決議要件が満たされていることを記載する。
(4)特別利害関係人については、出席取締役として算入していないことを記載する。

報告事項の記載方法
取締役会でどのような報告がなされたかも、代表取締役の責任やこれに対する取締役の監督責任を判断するうえで重要である。
したがって、報告事項の項目だけではなく、その要点を記載すべきである。もっとも、報告書などを議事録に添付するような場合は、項目だけで足りるであろう。


著者
安部井 上(弁護士)
2011年8月末現在の法令等に基づいています。