ビジネスわかったランド (総務・庶務)

取締役会の運営

中途出席・退席があった場合の記載方法は?

中途出席・退席の場合の記載
取締役会が開催されている中途で出席した取締役があった場合、あるいは中途で退席した取締役があった場合、議事録にはどのように記載するか。
取締役会の決議が有効になされるためには(取締役の過半数の出席という)、定足数が満たされていなければならない。しかも、この定足数は、開会時だけでなく、討議、決議を通して、すべての段階で満たされている必要がある。
したがって、この定足数の要件が充足されていることを明らかにするために、議事録には、中途出席や中途退席をした取締役の氏名とともに、その時刻・どの議題のどの段階かについて記載する。たとえば、「午後2時30分に、議題2(株式分割について)の討議の直前にA取締役中途退席」と記載する。

中途出席・中途退席の取締役の署名
いずれの場合においても、一定の時間は審議に参加していたのであるから(審議にかかわった事項も記載されている)、議事録には署名(記名捺印)をすべきである。
ところで、会社に損害を与えるような一定の行為がなされ、これが取締役会の決議に基づく行為であった場合には、決議に賛成した取締役も賠償責任を負うことになる。しかも、取締役会でその決議に反対したことを議事録に記載させていない場合には、決議に賛成したという推定を受ける。
したがって、中途出席や中途退席をした取締役が、(議事録に出席や退席の時間等が明記されていないために)実際には参加していない決議についても出席している旨の記載があった場合には、決議に賛成したとの推定を受けてしまう。
このような危険を避けるためには、取締役は議事録に対する署名を一時見合わせ、作成者である代表取締役に対して(決議に参加していなかったことがわかるように)、議事録の訂正を求めるべきである。


著者
安部井 上(弁護士)
2011年8月末現在の法令等に基づいています。