ビジネスわかったランド (総務・庶務)

取締役会の運営

取締役会を開かない議事録の効力は?

取締役会は必ず開かなければならない
取締役会設置会社の取締役は取締役会という会議を開き、そこで互いに意見を出し合って討議を尽くすことで、それぞれの知識や経験を寄せ合い、これによって会社の舵取りを適切に行なうよう期待されている。
したがって、そのような実態をもった取締役会での審議をしないままに、あたかも取締役会を開いて決議したかのように見せかけて、単に形だけ議事録を整えても、それによって取締役会がなされたことにはならない。
もし取締役会を開かずに議事録を作成して、登記手続きのために法務局に提出したりすると、それは公正証書原本不実記載罪になる。
後で決議不存在を指摘されて争いごとになると、それまでの行為の効力を覆されることもあるので、取締役会は必ず開くようにしたい。

持回り決議と持回りの方法による署名
各取締役に議案を順次回覧させて、賛否の意見を集約する、いわゆる持回り決議の方法は、定款の定め、議決に参加できる取締役全員の同意、監査役設置会社では監査役の異議がないことなど、一定の条件を満たす場合のみ認められることはすでに述べたとおりである。
しかし、実際に取締役会が開催され決議等がなされた後に、議事録に取締役(監査役設置会社では監査役も)の署名(記名捺印)をもらうことについて、いわゆる持回りの方法をとることはまったく差し支えない。
それは、取締役会が閉会してから議事録が整理されるまでには若干の時間がかかるため、取締役会の場で各取締役が署名(記名捺印)まですることは困難だからである。
したがって、一般的には、各取締役に議事録を回覧して、それぞれの署名(記名捺印)をもらうという方法が取られているのである。


著者
安部井 上(弁護士)
2011年8月末現在の法令等に基づいています。