ビジネスわかったランド (総務・庶務)
取締役会の運営
議事録の備置きと閲覧・謄写の決まりは?
議事録の備置きの方法
取締役会の議事録は、10年間会社の本店に備え置かなければならない。この議事録を備え置かなければならない責任を負うのは代表取締役である。
10年間という期間は、取締役会の日から起算されるが、作成までの間が長期であるような場合には、作成のときから起算すべきであろう。
備置きの方法としては、次に述べる株主の閲覧・謄写の請求があった場合に、これに対応できる状態で本店の事務所等に保管すればよい。
株主や債権者が閲覧・謄写を求める方法
株主はその権利を行使するために、また、会社の債権者は取締役や監査役の責任を追及するために、必要があるときは、取締役会議事録の閲覧や謄写を請求することができる。「閲覧」とは議事録の記載内容を確認することであり、「謄写」とは議事録をコピーすることである。ただ、取締役会の議事には秘密を要する事項もあるため、業務監査権限のある監査役がないために株主に強い監視権限が与えられている会社の場合を除いては、裁判所の許可が必要とされる。
これは、企業の秘密の保護に配慮して、むやみに閲覧・謄写されることを制限しようとするものである。実際にも、閲覧・謄写が容易に認められると、会社は議事録を詳細に作成しなくなることは目に見えている。そこで、会社の利益と株主・債権者の利益との調和を図ったのである。
裁判所は取締役と請求をした株主・債権者の双方の陳述を聞いて判断する。
そして、閲覧・謄写により、会社やその親会社もしくは子会社に著しい損害を与えるおそれがある場合には、裁判所は許可ができないとされている。株主としては、「権利を行使するため必要あるとき」にあたることを立証するために、行使しようとする権利の内容や確認したい事実を具体的に明らかにしなければならない。
なお、会社は、許可される閲覧・謄写の範囲を制限するよう主張することもできる。
著者
安部井 上(弁護士)
2011年8月末現在の法令等に基づいています。
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