ビジネスわかったランド (ビジネスマナー)

電話の威力を100%引き出すテクニック

反論の基本「イエス・バット法」

まずは相手の言い分を肯定する

イエス・バット法とは、相手の否定に対して、それをいったん受け入れ、「しかし」で切り返していく営業話法です。
人は肯定的な言い方を好む傾向があります。いきなり言い分を否定されると、それだけで聞く耳をもってもらえなくなったりします。そこで、まずはいったん相手の言い分を肯定し、受け入れやすい環境をつくるのです。
この切り返し話法を覚えれば、相手の断りの返事に対しても、以下のように会話をつないでいくことが可能になります。
相手 「いいとは思うけど、値段が高すぎるよね」
あなた 「そうですね、確かに高いとお感じになられるかもしれません。しかし、この商品が高いのは、他の商品にはない品質をもっているからなんです。お使いいただければきっとご満足いただけるはずですから、結果的に見ればけっしてお高くはないと思いますよ」
「営業は断られてからはじまる」とよくいわれますが、実際、電話営業でも返ってくる返事は「間に合っている」というリアクションがほとんど。そこで有効なのがこのイエス・バット方式のテクニックなのです。
営業の電話をかけることが多い人には、必須のテクニックといえるでしょう。

少し高度なテクニック

イエス・バット法は、相手の反論をかわしながら、いわば食い下がる手法です。
それだけに、相手にしてみれば、「断ったのにしつこい」と感じる人もいるかもしれません。
こうした反応を防ぐためには、イエス・バット法で相手の反論をかわしたあとに、関連した質問を投げかけるという少し高度なテクニックもあります。
つまり、反論をかわしながら相手に考えさせ、「しつこい」という印象をもたれる前に、別の意識にもっていくのです。
こうすれば、以下のようにさりげなく相手とのキャッチボールをつづけることができます。
お客様 「いいとは思うけど、この掃除機、値段が高いよね」
あなた 「そうですね、確かに高いと感じられるかもしれません。しかし、このお値段でも、この商品は一番の人気商品なのです。
失礼ですが、お客様は掃除機で階段の掃除をなさったことはありますか?」
こうした「お客様が具体的にイメージできる」質問を投げかけることで、相手が商品の必要性に思い当たるようになってくれれば、営業には新たな展開が見えてきます。
営業は、いかに相手の状況や考え方を聞き出し、それを解決する提案をできるかで勝負が決まります。
つまり、こちらの主張を通すだけではなくて、質問によって相手のニーズをどんどん引き出し、それにそった形で商品をすすめることが大切なのです。
それには、相手の反論を受け流すだけでなく、あわせてニーズを引き出すことができるこの手法はうってつけです。

恩田 昭子(株式会社ドゥファイン代表取締役社長)