ビジネスわかったランド (ビジネスマナー)

電話の威力を100%引き出すテクニック

相づちの基本「オウム返し」

オウム返しはゆっくりと

「オウム返し」とは、みなさんご存知のように、相手のいった言葉をそのまま繰り返すことです。
耳慣れた言葉ですが、じつはこれが非常に有効な聞き方の手法なのです。
人は、自分のいったことをそのまま相手が繰り返してくれると、「私の話をしっかり聞いてくれている」「私の主張をわかってくれている」と感じ、安心感をもちます。これが会話を円滑に運ぶための原動力にもなるのです。
とくにクレーム対応で相手が興奮しているときなどは、「落ち着いて話してください」などと頼むのはむしろ逆効果です。自分のペースで話を進めながら、相手の興奮を抑えるには「オウム返し」が最適です。
お客様 「おたくの店、混みすぎてまったく買い物ができなかったわよ。ひどいんじゃないの。もっとやり方があったでしょう」
あなた 「混みすぎて、まったく買い物ができなかったということですね」
お客様 「特別バーゲンの日だったら、混むのはわかっているでしょう」
あなた 「特別バーゲンの日でしたか。配慮が足りなくて申し訳ありませんでした」
お客様 「しかも、子供連れだったのよ」
あなた 「お子様連れでございましたか。それでは、なおさらご迷惑をおかけしました」
このようにオウム返しに返事をしていき、最後にこちらが「今後の課題とさせていただきます。貴重なご指摘ありがとうございました」といえば、相手もいいたいことはすべて伝え終えた満足感もあるので穏便に終わります。

オウム返しの効果をより高めるための大切なポイントは、できるだけゆっくり話すことです。
興奮している相手は、とかく早口です。
しかし、相手の言い方や言い分に反応しすぎず、こちらがゆっくりと落ち着いて話せば、相手も話すペースを落とし、感情も少しずつ落ち着いてきます。会話自体も次第にこちらのペースに導いていくことができるでしょう。

オウム返しで相手も話しやすくなる

オウム返しには、こちらの聞き取りをより確実にするという効果もあります。
電話の受け答えは、内容がきちんと整理された話を聞くような場面だけではありません。漫然と聞いているだけでは、結局なんの話だったのかわからなかった、ということも多々あるでしょう。
しかし、意識的にオウム返しをしていくと、相手も話しながら考えが自然と整理されてまとまってきます。相手のいいたいことを上手に聞き取る方法としても、かなり効果的な手法であるといえるでしょう。
シンプルなオウム返しができるようになったら、今度は相手の話の要点を整理してオウム返しができるようになると、さらにいいでしょう。こうすれば、さらに相手は話しやすくなります。
また、そうすることで、相手もこちらがただ相づちを打っているのではなく、話を理解しながら聞いているということを確認できます。

恩田 昭子(株式会社ドゥファイン代表取締役社長)