ビジネスわかったランド (ビジネスマナー)

電話の威力を100%引き出すテクニック

「質問」はプロの電話の基本

「質問」の効果を把握する

ビジネス電話における「質問」は、相手の話に出てくる営業のヒントをきっかけに、その糸口をさらに展開して核心に迫っていくために使われます。会話の主導権を自分のものにするという効果もあるでしょう。
私自身、営業をはじめたばかりの頃は、質問一本槍でした。その結果、相手のニーズを聞き出す力や課題抽出力が養われたと実感しています。営業入門としては、「まずはとにかく質問する」というのがおすすめです。
質問は、疑問やわからないことを確認するためにあると思いがちですが、それだけではありません。質問には次のような効果があるのです。

(1) 情報の収集 「やはり今年の主力はA商品ですか?」
「従業員数はどれくらい増えたんですか?」

(2) 気づきを促す 「人手による作業ですと人件費がかさみますね?」
「毎月のメンテナンスに10万円もかかるんですね?」

(3) 提案する 「サンプルをお使いいただき、ご意見をお聞かせいただけませんか?」
「毎月のコストを20%も削減できる商品ですが、ご興味はありませんか?」

(4) ニーズ確認 「ご希望は何ですか?」
「どのようなことでお困りですか?」

(5) クロージング 「ご予算はどのくらいですか?」
「納品を急ぐようでしたら、今週末に契約ということでいかがでしょうか?」

他にも良質な質問は、相手の気持ちを活性化させて会話を盛り上げ、本心を探ってニーズを引き出し、ひいては、たとえソリューションを提供できない場合でも、負の連鎖を断ち切るきっかけにもなります。 
ビジネス電話では、質問を繰り返しながら、相手にできるだけ多く話してもらうことが大切です。電話を極めていくには質問力を鍛えることは必須なのです。

質問をするにも相手への気配りを

ただし、相手の顔が見えない電話の場合、わけても知らない人からの電話であれば、「迷惑にならない質問をする」配慮が必要です。
最初から核心に近づきすぎてもいけないのです。
例えば、まだ取引のないA社の昨年の年商額を知りたいときに、いきなり「昨年の年商はいくらでしたか」とぶしつけに質問すれば、誰でも抵抗感をもちます。それを、「昨年は一昨年に比べ、どれくらいの伸びだったのですか」という聞き方に変えるだけで抵抗感はぐっと下がるのです。
また、こんな質問は相手に失礼ではないかと、こちらに躊躇があるときも決してうまくいかないものです。こんなときは最初の質問を、次項で紹介するような「イエス」「ノー」で答えられるクローズ質問にすると切り出しやすくなります。
つまり、電話での質問では、相手との関係性や距離によって適度な間合いをとり、それによって質問のしかたを変えていく臨機応変さが求められるのです。もちろん、そのためには質問のテクニックを覚え、バリエーションを増やしておくことも必須です。

恩田 昭子(株式会社ドゥファイン代表取締役社長)