「課長、○○社の○○さんからお電話です」と電話を取り次ぐときは、どこの誰からかかってきたかを告げるのが原則です。しかし、いつもこの原則を守っていればいいかというと、そうでもありません。

たとえば、上司の家族から電話が入ったとき、「課長、奥さまからお電話です」と原則どおりに取り次ぐ人がいます。こんなことをすれば、「気の利かない人間だ」と思われるだけです。
他の社員がいる前で奥さんからかかってきた電話に出るのは、誰でも気恥ずかしいものですし、場合によってはプライベートなことまでほかの人に知られてしまい、面目丸つぶれという事態にもなりかねません。

このように上司の家族からの電話を取り次ぐときには、「ご自宅から」という便利な言葉があります。奥さんや子供からの電話でも、「ご自宅から電話です」のひと言で用がすむのです。
また、同僚や部下の家族からかかってきた電話も、同じように「ご自宅から」と言って取り次げばいいのです。

ついでに言えば、男性に女性からかかってきた電話を回すとき、わざわざ「若い女の人からですよ」などと言う人がいますが、たとえ事実でもこれは感心できません。「○○さんからお電話です」と、さりげなく取り次げばいいのです。

他人のプライバシーを暴くようなことを口にする人は、良識を疑われるだけです。


白沢節子