ビジネスわかったランド (ビジネスマナー)
「人間関係」がうまくいく言葉のルール
贈り物をするときには“謙譲の精神”を言葉に表す
ある新入社員が夏休みに帰省したときのことです。入社後2年目のビジネスパーソンが日ごろからお世話になっている取引先の担当者に郷里の果物を贈りました。同時に送り状も出したのですが、それにはいささか首をかしげたくなる一文が書かれていました。
「郷里の名産をお送りいたしましたので、ご賞味ください」
この文章のどこがおかしいのか、わからない人もいるかもしれません。しかし、よく考えてみてください。「郷里の名産」という言葉は、一種の自慢にほかなりません。贈った物を相手に自慢できるのは、よほど親しい友人程度なら許されるというのが、一般的な社会常識です。
言い換えると、どんなに親しくなった社内・外の人でもその言葉を使うのは問題である、ということです。
この送り状を受け取った相手はそんな押しつけがましさを感じたかもしれないのです。
こうした際に発揮してもらいたいのが、“謙譲の美徳”です。いくら郷里の名産であっても、「心ばかりの品をお送りいたしましたので、ご笑納ください」と書き、へりくだった姿勢を見せることが大切です。
最近の若い人に最も欠けているのは、その“謙譲の精神”であるとよく言われますが、ビジネスの世界で人間関係を円滑に運ぼうとするなら、たとえ送り状一つにも、この“謙譲”や“謙遜”の心がけを忘れないでください。
白沢節子
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