ビジネスわかったランド (ビジネスマナー)

「人間関係」がうまくいく言葉のルール

欠点と長所を言うときは、長所をあとにもってくる
ある金属メーカーの人が、パテントを持っている町工場を訪れたときのことです。
「おたくの技術はとても優秀と聞いていますが、工場の規模は思いのほか小さいですね」
と言ってしまったばかりに、その工場の経営者をカンカンに怒らせてしまい、商談がうまくいかなかった、という例があります。
訪問した人はけっして工場をけなすつもりはなく、素直な感想を述べたにすぎなかったのですが、不注意な言い方にその工場の経営者はいたくプライドを傷つけられたのでした。
このように二つの事実を一度に言うときは、あとに述べる事実のほうが、相手には強く印象に残るものなのです。
ですから、このケースでは「小さい」を言い換えて、
「工場の規模はこぢんまりしていても、技術は優秀で素晴らしいと聞いて感心しています」
と言えば、相手を褒めることになり、少なくとも怒らせることはなかったはずです。
要するに、同じ内容のことを言っても、言い方の順序をちょっと変えるだけでその意味する内容には雲泥の差が出てしまいます。けなし言葉にもなれば、言い方しだいで褒め言葉にもなるのです。
欠点と長所を言うときは、長所のほうをあとにもってこないと褒め言葉にならないわけです。
ビジネスの場では、たとえちょっとしたことでも不注意な言動がせっかくの商談を台無しにしてしまうようなことが珍しくありませんから、用心が必要です。


白沢節子