ビジネスわかったランド (ビジネスマナー)

「人間関係」がうまくいく言葉のルール

断るときは「あいにくですが」とすまない気持ちを伝える

社員教育の行き届いたレストランでは、お客様からメニューにない料理について聞かれたとき、「それはありません」「それはないですね」と木で鼻をくくったような言い方は絶対にしません。
「あいにくですが、当店にはございませんが……」と、たいていは「あいにく」やそれに代わる前置きをつけた言葉が返ってきます。
メニューにない品なら、単に「ございません」だけでもいいようなものですが、それではお客様に与える印象も不快に感じられることを知っているからです。
というのは、この言葉は相手の要求に応えたいがそれができなくて申し訳ないという、あくまで相手を立てるという姿勢があって出てくる言葉だからです。
この「あいにくですが」はクッション言葉といわれています。よく椅子の背もたれにクッションが置いてあります。これは飾りということもありますが、背が痛くならないための実用性を兼ねています。言葉の「あいにくですが」も相手の心を傷つけない、つまり、気持ちを痛くさせないために必要な言葉なのです。
日ごろのビジネスの場でも、お客様や上司をはじめ先輩などから要求や要望を出されて、それを断らなければならない場面があります。
こうしたときは、断るべき相当な理由を示す必要があることはもちろんですが、相手の面子をつぶさないこともそれ以上に大切なのです。
それには、
「あいにくですが」
「申し訳ありませんが」
などと、すまないという姿勢を示すことが何より肝心です。


白沢節子