ビジネスわかったランド (ビジネスマナー)

「人間関係」がうまくいく言葉のルール

ものをたずねるときは目的をはっきり伝える

仕事を効率よく進めるためには、ムダやロスを極力少なくするのが大切であることは言うまでもありません。
この節約精神はビジネスの実際的な面ばかりでなく、人に何かを依頼したり、質問したりする会話のうえでもきわめて大切なことです。
少なくとも仕事の場では、明瞭かつ簡潔に自分の意思を伝える方法をわきまえておくことが、仕事に渋滞をきたさないために必要なのです。
たとえば、こんな話があります。
上司が部下に「○○君、接待に関するマナーの本はないかね」とたずねました。部下は急いで人事課に行き、新人研修で使っている接待が載っているマナー本を借りてきました。上司は彼が差し出したその本を見て言いました。
「これは新人向けの本じゃないか、役に立たないよ」と。
そこで彼はたずねました。
「接待のやり方や受け方はこの本に載っていますが、どうしてでしょうか? どんな接待の本が必要なのですか?」
すると、上司である課長は「課長になったばかりだから、管理者としての接待の心得とかやり方を書いたものが必要なんだ。明日、お客様と会食するんでね」と言いました。彼は人事課に行ってその本を返し、今度は営業部に行って課長が求める本を借りてきた、ということです。
このとき、「管理者として接待の場で役立つマナー本はないかね」と目的をはっきりさせた聞き方をしていれば、部下も時間や労力を費やすこともなく、はじめから営業部に行って本を探し出していたかもしれません。
また逆に、部下は上司に「どのようなことにお使いですか」と使う目的をたずねればよかったのです。そうすれば、二度手間になることはなかったのです。
他人にものをたずねる場合は目的をはっきりさせ、相手が最も答えを出しやすいような問い方をするのが肝心なのです。


白沢節子