ビジネスわかったランド (税務)
税額計算と申告
試験研究を行った場合の特別控除(令和3年4月1日~令和5年3月31日開始事業年度)
法人が試験研究を行った場合には、その事業年度(※)において一定額の税額控除が認められる。
※解散(合併による解散を除く)の日を含む事業年度および清算中の事業年度を除く
※解散(合併による解散を除く)の日を含む事業年度および清算中の事業年度を除く
(1)制度概要
令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する事業年度において試験研究を行った場合の特別控除制度の全体像は、下記の図のとおりである。
(注)適用除外事業者(前3事業年度の平均所得金額が年15億円を超えるもの)を除く
類型 | 内容 | 税額控除限度額 | 控除上限額 |
一般型 (旧総額型) |
試験研究費の額の一定割合を税額控除 | 中小企業者等以外: 試験研究費の総額×2%~10% ※1又は※2の場合、税額控除率UP(上限14%)
|
法人税額の25%(一定のベンチャー企業40%)
※2の場合、最大で10%上乗せ
※3の場合、5%上乗せ(上記ベンチャー企業除く) |
中小企業 技術基盤 強化税制 |
中小企業者等(注): 試験研究費の総額×12% ※1又は※2の場合、税額控除率UP(上限17%)
|
法人税額の25%
※1又は※2の場合、最大で10%上乗せ
※3の場合、5%上乗せ |
|
+
※1 増減試験研究費割合が9.4%を超える場合 ※2 試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合 ※3 基準年度比売上金額減少割合≧2%、かつ、試験研究費額>基準年度試験研究費額 |
|||
オープン イノベーション型 (特別試験研究費) |
大学・特別試験研究機関等との共同研究・委託研究 | 特別試験研究費の額×30% | 法人税額の10% |
研究開発型ベンチャー企業との共同研究・委託研究 | 特別試験研究費の額×25% | ||
国立研究開発法人の外部化法人との共同研究・委託研究 | 特別試験研究費の額×25% | ||
企業間での共同研究・委託研究 | 特別試験研究費の額×20% |
(2)試験研究費とは
この制度の対象となる試験研究費の額は以下のとおりである。ただし、試験研究に充てるために他の者から支払いを受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額が試験研究費の額となる。
1.製品の製造または技術の改良、考案もしくは発明に係る試験研究
|
のための費用(※)で、 |
①その試験研究のために要する原材料費、人件費および経費の額
②他の者に試験研究を委託するために支払う費用等の額
|
2.IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)等を活用した第4次産業革命型の新たなサービス開発に係る試験研究
|
(※) クラウドを通じてサービスを提供するソフトウエアに関する試験研究費(会計上は研究開発費として費用処理された金額で、税務上は資産の取得価額に含まれるもの)を含む
(3)適用を受けることができる法人
青色申告法人が、この制度の適用を受けることができる。
(4)一般型(中小企業者等以外)
1.税額控除限度額
2.控除上限額
3.用語の意義
・増減試験研究費割合
・試験研究費割合
・基準年度比売上金額減少割合
・基準年度試験研究費の額
①原則 |
試験研究費の総額×税額控除率(2%~14%)
税額控除率
増減試験研究費割合>9.4%
10.145%+(増減試験研究費割合-9.4%)×0.35 ※上限:14%
増減試験研究費割合≦9.4%
10.145%-(9.4%-増減試験研究費割合)×0.175 ※下限:2%
|
②試験研究費割合>10% |
試験研究費の総額×①原則の税額控除率×{1+(試験研究費割合-10%)×0.5} ※上限:14%
※下線部分の上限:10% |
①原則 |
+
|
基準年度比売上金額 減少割合≧2% かつ 試験研究費の額>基準年度試験研究費の額 |
法人税額×25% | ||
②試験研究費割合>10% | ||
法人税額×{25%+(試験研究費割合-10%)×2}
※下線部分の上限:10% |
法人税額×5% | |
③一定のベンチャー企業 | ||
・原則
法人税額×40%
・試験研究費割合>10%の場合
法人税額×{40%+(試験研究費割合-10%)×2}
※下線部分の上限:10% |
・増減試験研究費割合
増減試験研究費割合=
試験研究費の額-比較試験研究費の額
比較試験研究費の額
比較試験研究費の額:
当期前3年以内に開始した各事業年度の試験研究費の額の平均額
試験研究費割合=
試験研究費の額
平均売上金額
平均売上金額:
当期及び当期前3年以内に開始した各事業年度の売上金額の平均額
基準年度比売上金額減少割合=
基準売上金額-当期の売上金額
基準売上金額
基準売上金額:
基準事業年度:
基準事業年度:
基準事業年度の売上金額
令和2年2月1日前に最後に終了した事業年度
令和2年2月1日前に最後に終了した事業年度
基準事業年度(令和2年2月1日前に最後に終了した事業年度)の試験研究費の額
(5)中小企業技術基盤強化税制(中小企業者等)
1.税額控除限度額
2.控除上限額
3.用語の意義
(4)一般型(中小企業者等以外) 参照
4.中小企業者等とは
中小企業者等とは、以下に掲げる法人(注)および農業協同組合等をいう。
1.資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人
ただし、同一の大規模法人(資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人、資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人、資本金5億円以上の大法人による完全支配関係がある法人等)に発行済株式等(自己株式を除く。以下同じ)の2分の1以上を所有されている法人、及び、2以上の大規模法人に発行済株式等の3分の2以上を所有されている法人を除く。
2.資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
①原則 |
試験研究費の総額×税額控除率(12%~17%)
税額控除率
増減試験研究費割合>9.4%
12%+(増減試験研究費割合-9.4%)×0.35 ※上限:17%
増減試験研究費割合≦9.4%
12%
|
②試験研究費割合>10% |
試験研究費の総額×①原則の税額控除率×{1+(試験研究費割合-10%)×0.5}※上限17%
※下線部分の上限:10% |
①原則 |
+
|
基準年度比売上金額 減少割合≧2% かつ 試験研究費の額>基準年度試験研究費の額 |
法人税額×25% | ||
②増減試験研究費割合>9.4% | ||
法人税額×35% | ||
③試験研究費割合>10%(②の場合を除く) | 法人税額×5% | |
法人税額×{25%+(試験研究費割合-10%)×2}
※下線部分の上限:10% |
(4)一般型(中小企業者等以外) 参照
4.中小企業者等とは
中小企業者等とは、以下に掲げる法人(注)および農業協同組合等をいう。
1.資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人
ただし、同一の大規模法人(資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人、資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人、資本金5億円以上の大法人による完全支配関係がある法人等)に発行済株式等(自己株式を除く。以下同じ)の2分の1以上を所有されている法人、及び、2以上の大規模法人に発行済株式等の3分の2以上を所有されている法人を除く。
2.資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
(注)その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の平均所得金額(年換算額)が15億円を超える法人を除く。
(6)オープンイノベーション型
1.特別試験研究費の額とは
特別試験研究費の額とは、試験研究費の額のうち、以下に掲げる試験研究に係るものをいう。
(※)一般型の適用を受ける試験研究費の額を除く
3.控除上限額
特別試験研究費の額とは、試験研究費の額のうち、以下に掲げる試験研究に係るものをいう。
・国の試験研究機関、大学その他の者と共同して行う試験研究
・国の試験研究機関、大学その他の者に委託する試験研究
・中小企業者からその有する知的財産権の設定または許諾を受けて行う試験研究
・その用途に係る対象者が少数である医薬品に関する試験研究 等
2.税額控除限度額国の試験研究機関、大学その他これらに準ずる者との共同研究・委託研究に係る試験研究 | 特別試験研究費の額(※)×30% |
研究開発型ベンチャー企業との共同研究・委託研究に係る試験研究 国公立大学・国立研究開発法人の外部化法人との共同研究・委託研究に係る試験研究 |
特別試験研究費の額(※)×25% |
上記以外の試験研究(企業間での共同研究・委託研究、中小企業からの知的財産使用料等) | 特別試験研究費の額(※)×20% |
3.控除上限額
法人税額×10%
(7)申告要件
この制度の適用を受けるためには、確定申告書等に、控除の対象となる試験研究費の額および控除を受ける金額を記載し、その金額の計算に関する明細書を添付する必要がある。
著者: あいわ税理士法人
http://www.aiwa-tax.or.jp/
※2022年6月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています
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