ビジネスわかったランド (税務)

事業承継税制

猶予されている相続税・贈与税を支払う場合

相続税の場合

相続税の申告後も納税猶予の適用を受けた非上場株式等を保有すること等により、引き続き相続税の納税が猶予される。

しかし、一定の事由(以下、「確定事由」という)が生じた場合には、猶予されている相続税の全部または一部について、利子税とあわせて納付しなければならない。納付期限は、確定事由に該当した日から2か月を経過する日までとなっている。

確定事由とは、たとえば次のようなものが該当する。
  1. 制度の適用を受けた非上場株式等について、その一部を譲渡等(一定の贈与を除く)した場合
  2. 後継者が会社の代表権を有しなくなった場合
  3. 会社が資産管理会社に該当した場合(一定の要件を満たす会社を除く)
  4. 雇用確保要件(事業承継後、5年間の平均で、雇用の8割を維持すること)を満たさなくなった場合
以上が主な確定事由だが、実際には相続税の申告期限からの経過期間(基本的に5年以内か、5年経過後か)やその他の条件、状況等により、納税猶予が継続されたり、取り扱いが異なったりすることがあるので確認が必要である。

贈与税の場合

相続税と同様に、贈与税の申告後も納税猶予の適用を受けた非上場株式等を保有すること等により、引き続き贈与税の納税が猶予される。

しかし、確定事由が生じた場合には、猶予されている贈与税の全部または一部について、利子税とあわせて納付しなければならない。納付期限は、確定事由に該当した日から2か月を経過する日までとなっている。

確定事由、その他の留意点については、相続税の場合と基本的に同様である。

2018年度税制改正による雇用確保要件の緩和

雇用確保要件とは、中小企業における雇用確保という目的のため、事業承継後5年間の常時使用従業員数の平均値を承継時点の8割以上に保つこと(逆にいえば減少を2割未満に抑えること)によって、納税猶予を継続して認める要件のことである。

承継から5年経過後の基準日において、雇用確保要件を満たさない場合には、納税が猶予されている相続税・贈与税を納付しなければならない。

この雇用確保要件について、2018年度税制改正により、特例措置が適用される場合の運用が弾力化された(一般措置については従来どおり)。
具体的には、8割を下回った場合であっても、その理由等を記載した報告書(認定経営革新等支援機関の意見が記載されているもの)を都道府県知事に提出し、確認を受けることによって猶予が継続される。

※2018年5月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています