ビジネスわかったランド (税務)

事業承継税制

贈与税の納税猶予を受ける際の手続きと留意点

適用の手続きの流れ

特例措置と一般措置で手続き上、最も異なるのは、特例措置においては「特例承継計画」の策定・提出・確認が必須とされている点である。

特例措置の適用にあたっては、あらかじめ後継者や事業承継までの経営の見通し等をまとめた「特例承継計画」の策定し、認定経営革新等支援機関(税理士、商工会等)の所見を記載したうえで、2023年3月31日までに都道府県知事に提出し、その確認を受ける必要がある(一般措置の場合は、この手続きは不要)。
2023年3月31日までの贈与については、贈与後に特例承継計画を提出することも可能とされている。

特例承継計画の作成や円滑化法(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律)の認定等に関する詳細については、会社の主たる事務所がある都道府県の産業労働部、商工労働部などが相談窓口となっている。

以下、特例措置の適用の場合を中心に、主な手続きをフローチャートにまとめた。

特例承継計画の策定・提出・確認

*2023年3月31日まで(同日以前の贈与については、贈与後も可)*特例措置のみの手続き(一般措置の場合は不要)
 

贈与

*取得株数要件を満たすものであること(後述の本文参照)*2018年1月1日から2027年12月31日までの贈与であること*一般措置は期限なし
 

会社・後継者・先代経営者等の要件を満たすことについての都道府県知事による円滑化法の認定

*贈与を受けた年の翌年1月15日までに申請が必要
 

・制度の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書等の作成と提出・納税猶予税額と利子税の額に見合う担保の提供

*贈与税の申告期限まで(贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日まで)
 

贈与税の申告期限

*贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日
 

*税務署に対し、経営贈与承継期間(基本的に申告期限の翌日から5年)内は毎年、経過後は3年ごとに「継続届出書」を提出*都道府県知事に対し、経営承継贈与期間(同上)内は毎年、報告書等を提出

*納税猶予期間中

制度の適用を受けるための取得株数要件

贈与税の事業承継税制では、取得株数の要件が定められている。
後継者(受贈者)は、先代経営者等から次の一定数以上の非上場株式等の贈与を受ける必要がある。
(A)贈与直前に先代経営者等が有していた非上場株式等の数
(B)贈与直前の発行済株式等の総数(議決権に制限のないもの)
(C)後継者が贈与直前に有していた非上場株式等の数
(D)贈与後に後継者が有する非上場株式等の数
<特例措置:後継者が1人の場合>
後継者は、次の1または2の区分に応じた株数を取得する必要がある。

1 (A)≧(B)×2/3-(C)の場合
「(B)×2/3-(C)」以上の株数

2 (A)<(B)×2/3-(C)の場合
「(A)」の全数数


<特例措置:後継者が2人または3人の場合>
後継者は、次の1と2の両方を満たす株数を取得する必要がある。

1 (D)≧(B)×1/10
2 (D)>贈与後に先代経営者等が有する非上場株式等の数


<一般措置の場合:後継者は1人のみ>
後継者は、次の1または2の区分に応じた株数を取得する必要がある。

1 (A)≧(B)×2/3—(C)の場合
「(B)×2/3-(C)」が上限株数

2 (A)<(B)×2/3-(C)の場合
「(A)」が上限株数

※2018年5月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています