ビジネスわかったランド (税務)
事業承継税制
拡充された相続税の納税猶予・免除の特例措置
2018年度税制改正により、非上場株式等の相続税の納税猶予・免除制度が抜本的に拡充された。
改正(拡充)の主なポイントは次のとおりである。
改正(拡充)の主なポイントは次のとおりである。
(1)対象株式数・猶予割合の上限撤廃 | 全株式、課税価格の100%が対象に |
(2)10年間の期間限定措置 | 2018年から2027年までの相続 |
(3)雇用確保要件の緩和 | 適用(運用)の弾力化 |
(4)特例承認計画の策定 | 都道府県知事への提出、確認等 |
(5)承継パターンの拡大 | 複数株主から最大3人の後継者 |
(6)事業継続が困難な場合の免除 | 納税猶予税額の一部を免除 |
(1)対象株式数・猶予割合の上限撤廃
一般措置(従来からの恒久的な措置)の「議決権株式総数の3分の2に達するまでの部分に係る課税価格の80%」という上限が撤廃された。
したがって、特例措置の場合には、議決権株式総数のすべてを対象として、課税価格に係る相続税額の100%の納税が猶予される。
一般措置では、実質的な猶予割合は最大で53%(=議決権株式総数×3分の2×80%)であったから、事業承継にまつわる金銭負担を大幅に軽減する改正といえよう。
したがって、特例措置の場合には、議決権株式総数のすべてを対象として、課税価格に係る相続税額の100%の納税が猶予される。
一般措置では、実質的な猶予割合は最大で53%(=議決権株式総数×3分の2×80%)であったから、事業承継にまつわる金銭負担を大幅に軽減する改正といえよう。
(2)10年間の期間限定措置
特例措置は、2018年1月1日から2027年3月31日までの10年間に行なわれた相続が対象になる。
特例措置の創設に伴い、10年間にわたって、一般措置と特例措置の2つの制度が併存することになる。
特例措置の創設に伴い、10年間にわたって、一般措置と特例措置の2つの制度が併存することになる。
(3)雇用確保要件の緩和
一般措置では「事業承継後5年間は平均して8割の雇用を維持すること」が要件とされている。この要件を満たさなければ、納税猶予は打ち切りとなり、猶予税額の全額と利子税を納付しなければならない。
特例措置でも、雇用確保要件自体は維持されましたが、その適用(運用)が弾力化された。具体的には、8割を下回った理由等を記載した報告書を都道府県知事に提出し、その確認を受ければ、引き続き猶予されることになる。
特例措置でも、雇用確保要件自体は維持されましたが、その適用(運用)が弾力化された。具体的には、8割を下回った理由等を記載した報告書を都道府県知事に提出し、その確認を受ければ、引き続き猶予されることになる。
(4)特例承継計画の策定
特例措置の適用にあたっては、あらかじめ後継者や事業承継までの経営の見通し等をまとめた「特例承継計画」の策定・提出・確認が必要とされている。
特例承継計画を作成したら、認定経営革新等支援機関(税理士、商工会等)の所見を記載したうえで、2023年3月31日までに都道府県知事に提出し、その確認を受ける必要がある。
なお、2023年3月31日までの相続については、相続後に特例承継計画を提出することも可能とされている。
特例承継計画を作成したら、認定経営革新等支援機関(税理士、商工会等)の所見を記載したうえで、2023年3月31日までに都道府県知事に提出し、その確認を受ける必要がある。
なお、2023年3月31日までの相続については、相続後に特例承継計画を提出することも可能とされている。
(5)承継パターンの拡大
一般措置では、1人の先代経営者から1人の後継者に対する相続が対象とされている。
特例措置では、複数の株主(株主であれば、同族関係者だけでなく第三者も対象)から、最大3人の後継者に対する相続まで適用が拡大された。
特例措置では、複数の株主(株主であれば、同族関係者だけでなく第三者も対象)から、最大3人の後継者に対する相続まで適用が拡大された。
(6)事業継続が困難な場合の免除
特例経営承継期間(基本的に申告期限の翌日から5年)の経過後に、事業の継続が困難な一定の事由が生じ、特例対象の非上場株式等を譲渡等した場合には、その対価の額を基に相続税額を再計算する。その結果、当初の納税猶予税額を下回る場合には、その差額部分は免除される。
※2018年5月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています
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