ビジネスわかったランド (税務)

税額計算と申告

中小企業者等が機械等を取得した場合の特別控除

(1)制度概要

中小企業者等のうち資本金の額が3,000万円以下の法人が、平成10年6月1日から令和7年3月31日までの期間(以下「指定期間」という)内に新品の機械および装置などを取得しまたは製作して、国内で行う指定事業の用に供した場合、その指定事業の用に供した日を含む事業年度(※)において、特別控除を認める制度である。

※解散(合併による解散を除く)の日を含む事業年度および清算中の事業年度を除く

(2)適用を受けることができる法人

青色申告法人である中小企業者等 ※のうち、資本金の額が3,000万円以下の法人、農業協同組合等、及び、商店街振興組合が、この制度の適用を受けることができる。


(※)中小企業者等とは

以下に掲げる法人(注)、農業協同組合等、商店街振興組合をいう。
  1. 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人
    ただし、同一の大規模法人(資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人、資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人、資本金5億円以上の大法人による完全支配関係がある法人等)に発行済株式等(自己株式を除く。以下同じ)の2分の1以上を所有されている法人、及び、2以上の大規模法人に発行済株式等の3分の2以上を所有されている法人を除く。
  2. 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

(注)その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の平均所得金額(年換算額)が15億円を超える法人を除く。

(3)特別償却制度との選択適用

上記(2)の適用を受けることができる法人については、特別償却と税額控除の選択適用が認められる。

(4)適用対象資産(特定機械装置等)

新品である次に掲げる資産で、指定期間内に取得または製作して指定事業の用に供したものが、この制度の対象となる。(※)
  資産の種類 金額基準
1 機械および装置 1台または1基の取得価額が160万円以上のもの
2 製品の品質管理の向上等に資する測定工具および検査工具 ・1台または1基の取得価額が120万円以上
または
・その事業年度において事業の用に供したこれらの資産(1台または1基の取得価額が30万円未満であるものを除く)の取得価額の合計額が120万円以上
3 ソフトウエア(複写して販売するための原本、開発研究用のものまたはサーバー用のオペレーティングシステムのうち一定のものなどは除く)で右に掲げる金額基準のいずれかを満たすもの ・一のソフトウエアの取得価額が70万円以上のもの
・その事業年度において事業の用に供したソフトウエアの取得価額の合計額が70万円以上のもの
4 車両および運搬具のうち一定の普通自動車で、貨物の運送の用に供されるもののうち車両総重量が3.5トン以上のもの
5 内航海運業の用に供される船舶  

※1 匿名組合契約等の目的である事業の用に供する資産、および、内航運送の用に供される船舶の貸渡しをする事業を営む法人以外の法人が貸付け用に供する資産は除く

※2 コインランドリー業(主要な事業であるものを除く。)の用に供する機械装置で、その管理のおおむね全部を他の者に委託するものを除く

(5)指定事業とは

この制度の対象となる指定事業とは、以下に掲げる事業をいう。

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業にあっては、生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業および沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、通信業、損害保険代理業、不動産業およびサービス業(映画業以外の娯楽業を除く)

※性風俗関連特殊営業に該当するものは指定事業から除かれる

(6)税額控除限度額

税額控除限度額は、基準取得価額(※)の7%相当額である。ただし、この制度、および、「中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別控除」の合計で、その事業年度の法人税額の20%相当額が限度となる。

※基準取得価額とは、以下の金額をいう。

・船舶以外の資産…その資産の取得価額
・船舶…その資産の取得価額×75%

(7)税額控除限度超過額の繰越し

税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20%相当額を超えた場合には、その超えた部分の金額(繰越税額控除限度超過額)は、1年間の繰越しが認められている。

(8)適用を受けるための要件

税額控除の適用を受けるためには、確定申告書等に控除を受ける金額を記載し、その金額の計算に関する明細書を添付する必要がある。
また繰越控除の適用を受けるためには、繰越税額控除限度超過額が生じた事業年度以後の各事業年度の確定申告書に繰越税額控除限度超過額の明細書を添付し、かつ、繰越税額控除限度超過額の繰越控除を受けようとする事業年度の確定申告書等に繰越控除を受ける金額の記載およびその金額の計算に関する明細書を添付する必要がある。

著者: あいわ税理士法人
http://www.aiwa-tax.or.jp/

※2022年6月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています