ビジネスわかったランド (税務)

消費税

税額控除(個別対応方式と一括比例配分方式)
その課税期間における課税売上高が5億円超または課税売上割合が95%未満である場合には、個別対応方式または一括比例配分方式により計算した金額が控除対象仕入税額となる。

(1)個別対応方式

仕入税額を(イ)課税売上に対応するもの、(ロ)課税売上と非課税売上に共通するもの、(ハ)非課税売上に対応するものに区分し、課税売上に対応する仕入税額を控除する方法である。


【個別対応方式による控除対象仕入税額】

課税売上に対応する仕入税額

+[

課税売上と非課税売上に共通する仕入税額

×

課税売上割合

区分 控除額 内容
課税売上対応 全額 課税売上を行なうためにのみ必要な課税仕入れ等
課税売上と非課税売上に共通対応 ×課税売上割合(※) 両方に共通する課税仕入れ等、不課税取引のための課税仕入れ等
非課税売上対応 ゼロ 非課税売上を行なうためにのみ必要な課税仕入れ等

※納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合には、課税売上割合に代えて、課税売上割合に準ずる割合を使用することができる

課税売上対応 共通対応 非課税売上対応

・そのまま他に譲渡される課税資産

・課税資産の製造用にのみ消費し、または使用される原材料、容器、包紙、機械および装置、工具、器具、備品等

・課税資産の販売、製造用にのみ使用される事業所、工場に係る建設費、家賃、水道光熱費、通信費等

・課税資産に係る倉庫料、運送費、広告宣伝費、支払手数料または支払加工賃等

・課税資産の譲渡等の相手方に対する交際費 など

・本社事務所に係る建設費、家賃、水道光熱費、通信費等

・株主総会費用

・税理士報酬、監査報酬等

・HP、会社案内パンフレット作成費用等

・管理部門(人事・総務・経理等)に係る備品、消耗品、人材派遣料、人材募集費用等 など

※共通対応に該当するものでも、合理的な区分により課税売上対応と非課税売上対応に区分できるものはその区分によることができる

・販売用の土地の造成費

・賃貸用住宅の建設費

・株式譲渡費用

・非課税資産の製造用にのみ消費し、または使用される原材料、容器、包紙、機械および装置、工具、器具、備品等

・非課税資産の販売、製造用にのみ使用される事業所、工場に係る家賃、水道光熱費、通信費等

・非課税資産に係る倉庫料、運送費、広告宣伝費、支払手数料または支払加工賃等

・非課税資産の譲渡等の相手方に対する交際費 など

(2)一括比例配分方式

仕入税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算した金額を控除対象仕入税額とする方法である。個別対応方式のように仕入税額を3つの用途に区分する必要はないが、一括比例配分方式を選択した場合には、2年間強制適用となる。


【一括比例配分方式による控除対象仕入税額】

仕入税額の合計額

×

課税売上割合

※1 課税仕入れ等を3区分する必要がないため、個別対応方式に比べ事務負担は大幅に軽減
※2 一般的には一括比例配分方式による方が納税は増える
※3 課税売上割合に準ずる割合を使用することはできない
※4 一括比例配分方式を適用した場合、2年間は強制適用(個別対応方式不可)

著者: あいわ税理士法人
http://www.aiwa-tax.or.jp/

※2022年6月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています