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損失
青色欠損金の繰越控除
(1)制度概要
青色欠損金の繰越控除制度とは、各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度で青色申告書を提出した事業年度において生じた欠損金額を、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する制度である。
(2)損金算入限度額
青色欠損金を損金の額に算入する限度額は、下記のとおりである。
1.中小法人
その事業年度の所得の金額を限度として損金の額に算入できる。
その事業年度の所得の金額の50%相当額を限度として損金の額に算入できる。
3.再建中の法人および新設法人の特例
再建中の法人および新設法人については、その事業年度の所得の金額を限度として損金の額に算入できる特例が設けられている。
この特例は、平成27年4月1日以後に開始する事業年度から適用される。同日前に設立された法人であっても、設立から7年以内の事業年度であれば、適用が可能である。
1.中小法人
その事業年度の所得の金額を限度として損金の額に算入できる。
【中小法人とは】
期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である法人をいう。ただし、次に掲げる法人を除く。
2.中小法人以外の法人期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である法人をいう。ただし、次に掲げる法人を除く。
◆大法人(期末の資本金の額または出資金の額が5億円以上である法人)に発行済株式等の全部を直接または間接に保有されている法人
◆完全支配関係のある複数の大法人に発行済株式等の全部を直接または間接に保有されている法人
その事業年度の所得の金額の50%相当額を限度として損金の額に算入できる。
3.再建中の法人および新設法人の特例
再建中の法人および新設法人については、その事業年度の所得の金額を限度として損金の額に算入できる特例が設けられている。
項目 | 再建中の法人 | 新設法人 |
特例対象期間 | 更生手続き等の決定等の日から更生計画認可の決定等の日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度 | 設立日(合併の場合は、合併法人または被合併法人のうちその設立が最も早いものの設立日)から同日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度 |
対象外 期間 |
金融商品取引所への上場等があった場合におけるその上場等された日以後に終了する事業年度 | |
適用除外 | - | 大法人(資本金額5億円以上)の100%子法人および100%グループ内の複数の大法人に発行済み株式の全部を保有されている法人を除く |
(3)繰越期間
青色欠損金の繰越期間は、欠損金が発生した事業年度により下記の表のとおり異なる。
欠損金発生事業年度 | 繰越期間 |
平成20年4月1日以後終了事業年度 | 9年 |
平成30年4月1日以後開始事業年度 | 10年 |
(4)繰越控除の要件
1.欠損金の生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出していること
2.欠損金の生じた事業年度後以降、連続して確定申告書を提出していること
3.欠損金額の生じた事業年度に係る帳簿書類を保存していること(※)
2.欠損金の生じた事業年度後以降、連続して確定申告書を提出していること
3.欠損金額の生じた事業年度に係る帳簿書類を保存していること(※)
(※)欠損金の繰越期間が欠損金の発生事業年度により異なることから、帳簿書類の保存期間も下記の表のとおり異なる。
欠損金発生事業年度 | 帳簿書類の保存期間 |
平成20年4月1日以後終了事業年度 | 9年 |
平成30年4月1日以後開始事業年度 | 10年 |
(5)繰越控除の留意点
- 欠損金が生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出していれば、その後の事業年度の確定申告書が白色申告書であっても、この繰越控除の規定が適用される。
- 繰越欠損金が、過去の2以上の事業年度において生じている場合には、最も古い事業年度において生じたものから順次損金算入を行う。
著者: あいわ税理士法人
http://www.aiwa-tax.or.jp/
※2022年6月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています
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