ビジネスわかったランド (税務)
税額計算と申告
使途秘匿金に対する課税
(1)費途不明金・使途秘匿金に対する課税の概要
- 費途不明金
費途不明金とは、法人がした金銭の支出で、その費途が明らかでないものをいう。つまり、支出額と支出先は明らかであるが、支出の目的が明らかでないものが費途不明金に該当する。
費途不明金は、法人の事業に関係する支出か否かの判断ができないことから、全額が損金の額に算入されない。 - 使途秘匿金
使途秘匿金は、法人がした金銭の支出(贈与・供与等のための金銭以外の資産の引渡しを含む)で、支出の相手方の氏名等を帳簿書類に記載していないものをいう。つまり、支出額や引き渡した資産は明らかであるが、支出先(引渡し先)や、その目的が明らかにされていないものが使途秘匿金に該当する。金銭の支出だけでなく資産の引渡しも含む点が費途不明金と異なる。
使途秘匿金は、法人の事業に関係する支出か否かの判断ができないことから、全額が損金の額に算入されない。さらに、違法性が高い支出である可能性も否定できないという理由から、支出額の40%相当額が通常の所得に対する法人税とは別枠で課税されることとなっている。
(2)使途秘匿金の定義
使途秘匿金の定義は、以下の図のとおりである。
法人が行なった
⇒
⇒
金銭の支出
贈与・供与等の目的のためにする金銭以外の資産の引渡し
⇒
⇒
相当の理由がなく
⇒
相手方の氏名(名称)・住所(所在地)・支出等の事由を、帳簿書類に記載していないもの
※1 資産の譲受け等の取引の対価の支払いであることが明らかなものは、使途秘匿金から除かれる(ただし、取引の対価として相当であると認められる部分に限る)。
※2 相手方の氏名等を帳簿書類に記載している場合であっても、それが単なる名義人であって、その支出がその名義人を通じて他の者にされたと認められるときは、相手方の氏名等が帳簿書類に記載されていないものとみなされる。
※3 金銭以外の資産を引き渡した場合の使途秘匿金の支出額は、引渡時におけるその資産の価額となる。
※4 税務署長は、法人が支出の相手方の氏名等を帳簿書類に記載していないものがある場合においても、その記載をしていないことが相手方の氏名等を秘匿するためでないと認めるときは、その金銭の支出を使途秘匿金に含めないことができるとされている。
(3)帳簿書類に記載しているかどうかの判定時期
法人がした金銭の支出の相手方の氏名等を、帳簿書類に記載しているかどうかについては、原則として支出した事業年度終了の日の現況により判定することとされている。つまり、税務調査で指摘されて支出の相手先を明らかにした場合であっても、その事業年度終了の日時点で支出の相手先を帳簿書類に記載していないときは、使途秘匿金に該当することになる。
ただし、申告書の提出期限において帳簿書類に記載されている事実がある場合には、その事業年度終了の日において記載があったものとみなされる。
ただし、申告書の提出期限において帳簿書類に記載されている事実がある場合には、その事業年度終了の日において記載があったものとみなされる。
(4)使途秘匿金に係る納税額
使途秘匿金に係る税額=使途秘匿金の支出額×40%
(5)使途秘匿金課税の留意点
- 資産の取得価額に算入した支出であっても、支出の相手先を帳簿書類に記載していない場合には、使途秘匿金として課税される。
- 通常の所得に対する法人税とは別枠で課税が行われるから、赤字法人であっても法人税額が発生する。さらに、法人税額を課税標準とする地方法人税・法人住民税法人税割も課されることになる。
- 支出の事実そのものを隠ぺいしたり、仮装したりしている場合は、重加算税が課される可能性が高いといえる。
著者: あいわ税理士法人
http://www.aiwa-tax.or.jp/
※2022年6月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています
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